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大河ドラマ「真田丸」ワンポイント解説(2)

2016/01/25その他

法学部教授 黒田基樹

 1月24日(日)に放送された第3話には、注目していただきたいことが大きく二つあります。

 一つは、「国衆(くにしゅう)」という単語の登場です。真田家のような、戦国大名に従う立場にありながらも、独自の領地(領国)を有し、それを独自に経営している存在を、国衆と呼んでいます。いわば小規模な戦国大名のことです。この用語は、20年前頃から、私がそのような存在を表現するために用いてきたものですが、ようやく用語が一般化したということで、大河ドラマにも登場することになりました。

 真田家だけでなく、すでに登場してきた木曾義昌・穴山梅雪(武田信君)・小山田信茂も、すべて国衆でした。彼らは武田家を「裏切り」したのですが、彼らにとっては自らの領地・領民の維持が至上命題でした。ですから滅亡してしまいそうな大名家からは離叛して、自らの存続を図るわけです。この後、真田家は存続をかけて、次々と従う大名を変えていくのですが、それはすべて自らの領地・領民を維持するためでした。

 戦国時代の大名同士の抗争の背景には、そうした国衆をどちらが味方に付けるか、ということがありました。「真田丸」では、そうした国衆の目線から、戦国大名の立場を描いていくことになります。今までよりもリアルな戦国時代像を感じていただけるでしょう。

 もう一つは、村同士の生産資源をめぐる争いです。これを村落間相論と呼んでいます。この時代、村は武装し、しばしば近隣の村と生産資源をめぐる戦いを行っていました。これも大河ドラマでは初登場でしょう。今回は、真田領の村と室賀領の村の争いが出てきましたが、そこで争いになっている資源は「薪」です。これは燃料ですから、現在で言えば石油をめぐる争いになります。そう考えるとその深刻さが感じられるものと思います。

 戦国時代は、こうした村の武力を用いた争いを次第に抑制していく時代になります。大名・国衆が裁判で対処していくようになります。ドラマでも、そうした流れが少しずつですが取り上げられていくことになりますので、注意深くみていただくと面白いでしょう。



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