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学部・研究科レポート

2020.09.28

心理学部教員インタビュー(6):岩熊 史朗 教授

 人気企画「教員インタビュー」では、心理学部専任教員からのメッセージをお届けします。本企画でインタビュアーを務めてくれるのは、心理学部および心理学研究科に所属する学生たちです。授業中に見せる『教員の顔』とはまた別の、各教員の「研究者の顔」「一個人としての顔」を紹介していきます。


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<現在の研究テーマ、専門分野を教えてください>
 パーソナリティ心理学が専門分野です。パーソナリティ心理学では、性格について調べたり、心理テストを作る研究が行われています。
 ただ、私の場合、研究内容は普通のパーソナリティ心理学から少しはずれています。私自身は「パーソナリティ認知」と呼んでいますが、一般的には「対人認知」と呼ばれる領域の研究をしています。みなさんも他の人の性格(パーソナリティ)や人柄を知りたいと思うことがあると思いますが、専門家ではなく普通の人が他の人の性格を理解するプロセスを調べる研究です。

<現在の専門分野を目指した理由、きっかけは何ですか?>
 大学院のときに、大学院の指導教授がSCT(*1)の開発者だったので、SCTの授業を受けました。大学院生は、誰かが書いたSCTを配られて、その分析結果を1人ずつ発表させられます。先生は、「そうかい、君はこんな女の子が好きなのかい」とか、「そんなことが趣味だったのかい」などと言いながら、とても楽しそうに聞いています(笑)。僕ら大学院生は、他の人が書いたSCTを読んで、そこからその人のパーソナリティを読み取って語っているつもりなんですが、先生は、僕らの話を聞いて、そこから僕らのパーソナリティを読み取っていたんです。つまり、僕ら大学院生は、他の人のパーソナリティを語っているつもりで、実は自己紹介をしていたというわけです。
 SCTは投影法(*2)の心理検査の一つで、検査を受けた人のパーソナリティが回答に投影されます。しかし、分析者が未熟だと、回答を書いた人でなく、分析者のパーソナリティが分析結果に投影されてしまうのです。これが僕にとってとても新鮮で面白かった。そしてこれは、未熟なSCT分析者だけでなく、誰もが日常生活で多少なりともやっていることではないかと思うようになりました。大学院時代は「自己」の研究をしていましたが、この大学に来てそれが一段落したので、パーソナリティ認知の研究を始めました。

(*1)SCT:Sentence Completion Test の略。文章完成法テストと呼ばれる心理検査。文章の書
 き出し(たとえば、「子どもの頃、私は...」)だけを示して被検者に文章の続きを書いてもらい、
 そこから被検者の特徴や性格(パーソナリティ)を調べる心理検査。
(*2)投影法:あいまいな刺激(絵や文など)を示して、それに対する被検者の反応を調べる検
 査法。あいまいな刺激を解釈する際に、被検者の無意識が投影されるという仮定に基づい
 ている。

<大学生の頃に興味があったことは?>
 僕が入った大学では、1年生の時は専攻が決まっていなくて、2年生になるときに専攻を決めるというシステムになっていました。もともと社会学か社会心理学を勉強するつもりでしたが、2年生になる時、「人間科学専攻」という新しい専攻ができることになりました。この専攻では、哲学、社会学、心理学、文化人類学、精神医学などを総合的に勉強するという触れ込みでした。「ちょっとかっこいいな!」と思って、人間科学専攻を選びました。
 学部時代は社会心理学のゼミに所属しました。指導教授に大学院に行きたいと相談したら、「私は、大学院は担当していないので、大学院に行きたいなら○○先生に相談しなさい」って言われました。それが、先ほどの話に出たSCTの先生だったんです(笑)。

<どんな大学生活を過ごしていましたか?>
 ん~、結構おとなしかったですね(笑)。あまり遊びまわる方ではなかったです。そんなにガリ勉ではなかったのですが、特に自分が興味持ったところはそれなりに勉強していました。1年生の頃は、少しだけサークルにも入っていました。

<何のサークル?>
 ジャズ研究会です。1年間だけね(笑)。その頃まで全然ジャズをやったことなかったので、イチから教えてもらいました。教えるのがうまい先輩だったので、一応理論はマスターしました。指はマスターできなかったけど(笑)。もともとピアノをやってたから、「こういう風にやればジャズピアノになるのね」っていうところは大体わかりました。そのおかげで、今も趣味でジャズピアノをやっています。

<高校生へのメッセージをお願いします>
 「やりたいことって何なのか」って考えるのがすごく大事なんだと思います。「よくわかんないから考えない」というやり方では、あまりいいことはない。考えても、本当にやりたいことに関して、結論は出ないかもしれない。けれど、考えられるだけ考えてみると、いろんな情報が集まってくるものなんです。「もしかしたら、自分はこんなことに興味があるのかな」「あんなことも興味があるのかな」って。ますます混乱することもあるけれど、それをやっていると、その後いろんなことを決める時の材料になる。すごく不毛な時間にも思えるかもしれないけど、「自分は何がやりたいんだろう、何が向いているんだろう」って考えるのは、決して悪いことではないと思います。
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◆教員プロフィールを詳しく知りたい方はこちらへ↓
教員情報
https://faculty.surugadai.ac.jp/sudhp/KgApp?kyoinId=ymdegegyggy

 

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