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学部・研究科レポート
心理学部教員インタビュー(3):木塚 隆志 教授
本企画「教員インタビュー」では、本学心理学研究科に所属する大学院生の有志がインタビュアーを務め、心理学部各教員からのメッセージをお届けします。授業中に見せる『教員の顔』とはまた別の、各教員の「研究者の顔」「一個人としての顔」を紹介していきます。
<現在の研究テーマ、専門分野を教えてください>
専門は宗教思想史で、宗教改革期のドイツの急進派、神秘思想と終末思想をテーマとしています。具体的には、トーマス・ミュンツァーという思想家の研究をしています。彼は、神学者でありながら、ドイツ農民戦争の指導者となった人です。私は宗教と社会変革の交わるところに関心があります。両者の接点である宗教改革期において、その中でも異色の神学者であるところに興味を持ちました。
<現在の専門分野を目指した理由、きっかけは何ですか?>
もともとは社会思想や政治思想に興味がありました。それらは、ヨーロッパの場合、宗教(キリスト教)思想と極めて密接な関係にあるからです。...というのが表の理由です。
<表!?ということは裏が?>
あります。大学生の時、卒業後に就職するのは嫌だったので、大学院に行って、さらには研究者になろうと考えていました。普通は大学での専攻(政治学)の延長を選ぶのだろうけど、そこは打算が働いて、東京大学の院の中で外部から入りやすい専攻は何かを調べたところ、倫理学と宗教学が入りやすいという情報を得ました。そして、同じ政治学科の先輩がそこにいたこともあって、宗教学に決めました。
<そう思い立って、入れるものなのですか?>
受験勉強では、宗教学事典をまる一冊、ほとんど覚えました。もともと、応用よりは事実を淡々と覚えるような勉強が得意だったのが活きたのだと思います。ただ、大学院に入学して研究を始めてからは、居心地の悪さはありました。周りは皆、その学問に熱を入れているメンバーの中、自分はそれほど入れ込んでいない状態というのは、疎外感というか、ここに居ていいのだろうかという感じはありました。それは今も続いていて、思い入れがない分、自分の研究に虚しさを感じる時もあります。
<どんな大学生活を過ごしていましたか?>
大学にはあまり行っていませんでした。笑。大学には行かずに、本を読んでいました。それと、政治学を研究するサークルに出入りをしていました。そこでは、マルクスとウェーバーを中心に研究をしていて、私はウェーバー派でした。ただ、もともとあまり人と組んで何かをするのは好きではなくて、それは研究でも同様です。理系のような、グループで研究に取り組み、皆で論文を仕上げるのは私の性に合いません。自分はいつも周辺の、外れたところにいる人、という意識があります。ひねくれ者で、人と同じ道をたどるのは嫌だったので、働き方も専門も、学生生活でも、主流の人たちとはちがう選択をしてきました。
<高校生へのメッセージをお願いします>
表のメッセージは、「人と違っても、恐れることはない」ということです。進路や職業選択、ライフスタイルを選ぶにあたり、人と違っていることで不安になることがあるかもしれない。しかし、自分だけちがうこと、孤立を恐れないで欲しいのです。
裏のメッセージは、「打算で動くと、後がつらい」です。笑。私は自分の望む道を進むために必要な計算をした結果、今の学問分野やテーマに取り組むこととなりましたが、帳尻合わせに苦労しました。もともと、自分が本当に心惹かれるものを探して、関わっていたら、ちがう今があったのかもしれないと考えることがあります。
◆教員プロフィールを詳しく知りたい方はこちらへ↓
教員情報
https://faculty.surugadai.ac.jp/sudhp/KgApp?kyoinId=ymiyygomggy