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心理専門職公務員について-心理学部長に聞く-(第4回・最終回)

2017/09/22その他

 何回かに分けて、公務員の心理専門職のことについて、人事院任用局(現在の人材局)試験専門官や人事院試験専門委員などを歴任し、公務員の心理専門職のことに詳しい川邉心理学部長(2018年度より心理学研究科長)にインタビューしました。

20170905sinri_01.jpgしゅんた:今回は、心理職公務員の魅力をお聞きしたいと思います。心理職の魅力にはどのようなものがありますか?

川邉:かなり個人的見解ということになりますが、それでもいいですか?

しゅんた:お願いします。

川邉:心理職にとって、身分が安定していることと専門性が尊重されるということはとても重要なことです。具体的には、営利とほぼ無縁に仕事ができるということです。例えば、一般企業では企業戦略や経営状態によっては、心理職でありながら別の仕事をしなければいけなくなる場合や失職する場合もあり得ますが、公務員の場合、それは基本的にはありません。じっくり腰を据えて仕事ができます。また、臨床でも研究でも、所属する組織の思惑にあまり影響されることなく、誠実に取り組むことができると思います。それが最大の魅力だと思います。

しゅんた:なるほど、心理の仕事はお金にならないからこそ公務員の優位性があるのですね。でも、そういう状況では、一生安泰という感じになって、自分の成長がなくなる気もします。

川邉:専門職が沢山いる職場では、高いモラールが保たれています。組織として育成研修制度をもっているところがほとんどですし、自主的勉強会をしているところも多いです。毎日、新しい課題にぶつかるといってよい職場環境にありますので、勉強しない訳にはいかず、その結果、仕事を通じて自分を成長させることのできる職場といえると思います。

しゅんた:収入という点ではどうですか?

川邉:保障されています。それもまた公務員の魅力でしょうか?

しゅんた:福利厚生面も恵まれていますよね。

川邉:そうだと思います。特に女性にとっては出産・子育てなどをしながら一生続けられる職場として魅力だろうと思います。

しゅんた:そういえば、心理学部は他学部よりも女性比率が大きいですが、心理職の職場も女性比率が大きいのですか?

川邉:一般的公務員よりは女性比率が高いと思います。私が某施設で勤務していた時、私の部屋のフロアには女性用トイレしかなく、トイレに行くのに階段を上り下りしたことがあるくらいです。ほかではなかなかないのではないでしょうか(笑)。

しゅんた:昇進とか昇給で男女差があるのではないですか?

川邉:それも全くないです。私は15の機関・施設を経験しましたが、延べ7人の女性上司にお仕えしました。

しゅんた:上司というのは必ず心理専門職なのですか?

川邉:ある程度以上の心理専門職が働いているところでは、直属の上司はほぼ心理専門職ですが、小さな組織では行政職など別の職種の人が上司となる場合があります。また、直属ではなく、もっと上の上司ということになれば、裁判所では必ず裁判官ですし、法務省関係ではほぼ必ず法律の専門家になります。

しゅんた:上司が心理職でない場合に働きにくいということはないのですか?

川邉:あまり気にしたことはありません。私の場合、上司が教育職の人であったり、検事であったりしたことがあります。人事院で働いていたときの上司は薬学の人だったと思います。皆、心理職の専門性を尊重してくれていました。

しゅんた:逆に心理職の人が裁判所や法務省・警察庁などの大きな組織のトップに立つということはできないのですか?

川邉:可能性という点では、適性があれば大きな組織のトップになる可能性はないとはいえませんが、トップになるための経験を積む必要がありますので、現場で臨床的な仕事や研究的な仕事を長くしていれば、事実上、大きな組織のトップになることは難しくなるといえます。トップになりたければ、専門職ではなく総合職の法律・行政区分で採用されて、トップになるための教育を受けることを勧めます。

しゅんた:変なことをお聞きしました。専門職として採用されるのだから専門職としてしっかりした仕事をすることこそが大事ですね。

川邉:そのとおりです。

しゅんた:学部長、ありがとうござました。僕も心理職公務員にチャレンジしようと思います。勉強会を立ち上げたら講師で来てください。

川邉:もちろん、喜んでお手伝いします。



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