2019年11月29日(金)13時20分より、駿河台大学第二講義棟14階会議室において、経済研究所主催公開シンポジウム「観光ビジネスと人材育成」(第50回講演会)が開催されました。
今回のシンポジウムは2部形式で行われました。
第1部は、駿河台大学特任教授小澤伸光による基調講演「観光ビジネスと人材育成の基本的な課題」です。
第2部は、「観光ビジネス人材の育成と大学教育」と題したパネルディスカッションで、三垣和典・村澤彰の両特任教授(実務家)による、「観光ビジネス教育」の現状報告でした。全体のモデレーターは経済経営学部特任教授町田欣弥が務めました。
第1部ではまず、小澤伸光教授より、経済経営学部に「観光&国際ビジネスコース」を開設した狙い、観光&国際ビジネスコースのカリキュラムを設定した背景の解説がなされました。
大卒に求められるのは、現場で即戦力となれる人材ではありません。将来のマネージャー候補として、お客様のニーズをいち早くつかんで、現場での対応を出来る人材、市場のニーズを把握して、新たなビジネスプランを企画・立案できる人材です。このような人材を育成するために、実務家教員の両先生に「ケーススタディ」を中心とする科目をご担当頂きました。
第2部では、三垣教授と村澤教授それぞれが、担当されている科目について、講義の狙い、講義内容、教授方法等、教育実践の現場を紹介しました。
三垣教授の担当する「ホテルビジネス入門」の内容のエッセンスです。
・ホテルビジネスを通じて観光ビジネスを理解します。
・ホテルビジネスの基本として「人へのサービスの付加価値」と「マーケティング」を知るがテーマとなります。
・サービスの基本は接客「気づく・・事」から始まり、点と点を結ぶことにより興味を持っていただくようにします。特にこのホテルはどんな目的を持ったホテル、商品内容、レベルを知るための知識を知る。
「ホテルビジネスケーススタディ」の内容の骨子です。
・ホテルの基礎からの応用になります。(キャリア形成の為のプロセスが大切だからです)
→双方向性の高い授業を目的として、次のような内容となっています。
・事例を中心に:特に現在のホテル業の状況を実践的に見られるような資料にさせていただいています。ブランド構築の基礎、市場性、収支管理の基礎とマーケティングを現実の状況を実践的に提示します。
・考え方:数値は結果的なものであり、数値の中に隠れた要因が分析できる。その内容分析と今後に対する考え方の構築が「大切」です。
村澤教授による「観光ビジネスケーススタディ」の概要は次のとおりです。
・創業社長の実体験をもとに、ビジネスに必要な考え方や知識を学びます。
・戦略やマーケティングを具体的事例により学び、企業の考え方も紹介します。
・授業では小論文を課し、自ら考え文章で表現する力を養成します。
ある日の授業例
:「開発コンセプト」がテーマの授業で副社長からダメ出しをされたと説明しました。
すると、学生からダメ出し対処方法の質問があり、次回の授業で 問題解決法を「早く知りたかったシリーズ」として紹介しました。
ケーススタディの素材は、実務家教員が実際に体験したことです。実務家は体験を通して、「状況を把握し」、「状況の生起する原因を推定し」、「課題解決の代替案を想起・検討・実施した」実積の振り返りを行い、おなじような状況が生起したときに対処するノウハウを蓄積していきます。
実務家教員へ期待するのは、ご自身のキャリア形成過程で身につけた(身体化された、身体で覚えた)知識のみならず、「考え方」を学生に伝え、気付かせることです。
さらに、実務家教員による教育には、ビジネス現場から「経営学理論」の有用性に気付くことを示し、「経営学」を学ぶ意義と面白さとを感じる機会の提供も意図していました。実務から「学び」の必要性を実感させるというプログラムであり、本学部の独自性の一つを示すものとなっています。
本シンポジウムは、市民、学生を含め多くの方の参加がありました。
市民の方からは、「私も若い時にこのような講義を聴けたら良かったなあと思いました。学生さんたちには、この難しい社会に向けて頑張って貰いたい」との、エールを込めた感想をいただいています。
公開シンポジウムの様子(2019.11.29撮影)
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