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学部・研究科レポート

2023.01.25

「学部デー」を実施しました vol.4 ―法務省 法務史料展示室

法学部教授 染田 惠

学部デーで、法務省と法務資料展示室を見学した松本大輝さんのレポートをご紹介します。法務資料展示室では、2グループに分かれて、職員の方にガイドツアーをして頂いた後、自由見学としました。松本さんのレポートは、細かい点も含めて良く観察されていると思います。集合写真は、法務資料展示室が設置されている法務省赤れんが棟の前で撮影したものです。


法学部法律学科1年
松本 大輝
(本庄東高等学校(埼玉県)出身)

法務省は、明治時代から国民の安全な暮らしや戸籍などの基本的な事項を所管し、刑事や民事に関する基本的な法の整備や維持を行う必要不可欠な機関である。
建物は渋沢栄一がもたらした赤れんが造りであり、関東大震災でも耐えることができたほど耐震性も高いと聞いた。外観は国の重要文化財に指定され、内装には東京大空襲による焼け跡が残されている。
法務資料を展示している部屋には、法律を制定する際に使用された文書や参考にした書物などが展示されている。その中で印象に残った資料は、江藤新平の文書であった。江藤新平は初めて司法卿に就任した人物で、刑法などをつくり、裁判の仕組みを整えた人物である。彼が当時定めた死刑制度は、絞首刑の他、斬首刑、さらし首の刑が存在したことが分かった。江藤新平は佐賀の乱の首謀者になったことにより、皮肉にも、大久保利通によって、自分が定めた刑罰であるさらし首の刑にされた。他の資料では、刑法や旧民法の編さんに尽力したフランス人のボアソナードの書物、ドイツ人のロエスレルの商法草案などが展示されていた。

展示室に続く別室には、明治時代の裁判官の服が展示してあった。裁判官の服が黒色なのは、何ものにも染まらない色であることから、裁判を公平に行うためだという。裁判官は紫色の刺繍、検察官は赤色の刺繍、弁護士には白色の刺繍が、法服に入っていることが印象に残った。紫には尊厳、赤には偽りのない心、白には潔白の意味が、それぞれ込められていることを学んだ。

現在の法務省の業務内容には、刑事・民事関係の基本的な法律の制定や秩序維持、戸籍の管理、罪を犯した人が再び社会に復帰するために教育や支援を刑事施設内や社会内で実施、人権擁護の推進、出入国管理手続などが含まれている。職員数は地方機関を含めて、約5万5千人と規模が大きい。

法務省を訪れたことで、一国の法制度の整備に関する国の責務の一端を目で確認することができた。民法や刑法の草案が大事に保管されていて、部屋も綺麗にされており、法的規律に携わる職場として適していると感じた。法務省の仕事は国の法秩序を維持するために欠かせないもので、責任の重い職業だと思う。法務省のパンフレットで、法の制定の歴史を知ることもでき、価値のある社会見学になった。

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