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- 映画『時給三〇〇円の死神』の酒井麻衣監督による特別講義
学部・研究科レポート
映画『時給三〇〇円の死神』(現在大ヒット公開中)や『ストロベリームーン 余命半年の恋』(25)、大人気ドラマ『美しい彼』シリーズ、さらには数々の人気アーティストのミュージックビデオを手がける映画監督の酒井麻衣さんが、メディア情報学部の専門科目「ウェブ映像論」の特別講義にてご講演くださいました。酒井監督は、商業映画デビュー作『はらはらなのか。』(17)以降、映画・ドラマ・MVとジャンルを横断して独自の世界観を紡ぎ出し、映像業界の第一線で活躍を続けている注目のクリエイターです。
講義の前半では、「映像を好きになったきっかけ」や学生時代からプロへと駆け上がった道のりが語られました。幼少期に実写ファンタジー映画から受け取った「空想の世界を好きでいていいんだ」という肯定感が自身の原点であると明かし、画家志望から高校3年の秋に映画学科へ進路を変更したエピソードを披露。大学時代は「監督として生きるために本当に必要なものは何か」を冷静に自己分析し、「脚本」「芝居」「編集」の学びに特化したと語りました。また、恩師である編集技師・鈴木歓さんから贈られた「不得意なものは放っておいていい。得意なものを研ぎ澄まして相手にぶっ刺せ」という言葉や、卒業後に自作DVDを手に直談判してチャンスを掴み取った経験、プロの現場で培った「落ち込まずに瞬時に思考を切り替えるメンタリティ」など、リアルな実体験に裏打ちされた言葉の数々は、学生たちに衝撃と勇気を与えました。
講義の後半では、プロとしての演出論や最新作『時給三〇〇円の死神』の裏側に迫りました。演出に向き合う際は「14歳の頃の自分が見て面白いと感じるか」を基準にしつつ、「自分の色を無理に押し付けるのではなく、作品にとって何が一番幸せかを考え尽くす」という誠実な制作姿勢を語ってくださいました。さらに最新作については、原作小説が持つ「残酷だけど美しい」空気感の映像化、主演の西畑大吾さん(なにわ男子)や福本莉子さんへの演出の工夫、そして「映画が終わっても登場人物や観客の人生は続いていく」という思いからHYによる主題歌に疾走感を求めたエピソードなどを惜しみなく明かされました。
講義終盤の質疑応答では、映画を鑑賞した学生からの演出意図に関する質問から、学生時代にやっておくべきことまで、学生一人ひとりの目を見て真摯にお答えいただきました。学生時代を振り返りながら「なんでもない日常の会話ができる友達をつくっておくこと」の大切さを語る等身大の姿も印象的でした。最後には、「大学時代は私も夢や進路にたくさん悩みました。だからこそ、皆さんの挑戦を心から応援しています。いつか映像業界や映画館でまた会いましょう」という温かいエールをいただき、講義を締めくくられました。
大学2年生が中心の本授業において、最前線で作品を生み出し続ける酒井監督の熱意と哲学に触れた時間は、学生たちがこれからの学びや将来の生き方を模索するうえで、かけがえのない大きな刺激となったに違いありません。
(授業担当/特別講義企画:曽根真弘 非常勤講師)