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- 大河ドラマ「豊臣兄弟!」ワンポイント解説・第23回
学部・研究科レポート
駿河台大学法学部教授・黒田基樹
本学法学部の黒田基樹教授は、日本史の中でも戦国史について研究をしており、2026年1月から始まったNHK 大河ドラマ「豊臣兄弟!」の時代考証を担当しています。
時代考証とは、八津弘幸さんが書かれている脚本が出来上がるまでに、史実と脚本に違いがあるかないか、時代感が合っているかどうか、などチェックする仕事です。
第23回は、天正6年(1578)10月の小寺官兵衛が荒木村重に拘束されてから、天正7年6月に竹中半兵衛が死去するまでが取り上げられていました。
作劇の中心になっていたのは、信長が官兵衛は裏切ったと判断して、人質として秀吉のもとに送られていた、その嫡男・松寿丸の殺害を命じ、それを半兵衛が偽の首を差し出して、実際には松寿丸を匿った、という著名なエピソードでした。
ところがこのことは、事実ではないと考えられます。この話は、江戸時代中期、黒田家が編纂した『黒田家譜』のみにみえている内容になります。実際のところは、官兵衛が荒木に拘束された直後の11月に、小寺家は、松寿丸を新たな当主にたて、官兵衛の父・小寺職隆らが家政を代行するという体制をとり、それを信長から承認を得ているのです。
そのため信長が、新たな小寺家当主になった松寿丸の殺害を命じることなど、全く想定できないのです。この話は、江戸時代の黒田家で、官兵衛と半兵衛を知略に長けた人物として造形していくなかで創作されたもの、と考えられます。
そのため信長が、新たな小寺家当主になった松寿丸の殺害を命じることなど、全く想定できないのです。この話は、江戸時代の黒田家で、官兵衛と半兵衛を知略に長けた人物として造形していくなかで創作されたもの、と考えられます。
しかしこの話はあまりにも著名で、かつこれまでの大河ドラマでも必ず取り上げられてきたものなので、今回も通説にのって取り上げられたものとなります。
また作劇のなかで、お慶が小一郎の娘を出産することが取り上げられていました。誕生した娘の名は末といいます。天正9年以前の生まれと推定されるのですが、ドラマではこの天正7年の生まれと設定して、半兵衛が松寿丸を拘束しようとする展開にからませられています。
この末の存在は、ドラマ設定初期には判明していなかった事実になります。このことについては第12回の解説で触れたところです。このようなかたちで末の誕生が織り込まれたのでした。
この出産シーンには、たまたまスタジオで見学しました。撮り終わったあと、小一郎役の仲野さんが、これはこのドラマのなかで最も幸せなシーン、と評していました。これほどの幸福感のあるシーンは、たしかにこれが唯一のものになるように思います。
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お慶出産シーンのセットです。 -
出産は、「なか」の居室でした。