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学部・研究科レポート

2016.12.31

大河ドラマ「真田丸」ワンポイント解説(48) 最終回

法学部教授 黒田基樹

 12月30日(金)、「真田丸」の総集編が一挙に放送されました。これで「真田丸」の放送は、本当に最後になりました。今年の1月から、「真田丸」の放送にあわせて、このワンポイント解説を行ってきました。それも今回で最後を迎えることになりました。そこで、「真田丸」における時代考証の仕事を通じて感じたことを振り返ることにしたいと思います。

 第1回の脚本の考証会議を行ったのは、ちょうど2年前の年末のことでした。それから2年にわたって、時代考証を行ってきました。最初の1年は、ほぼ脚本内容の考証が中心でした。その一方で私自身は、その後のドラマ展開にあわせた考証の予習を兼ねて、それまで本格的に検討されてこなかった、豊臣時代以降の真田家の動向について調べをすすめていきました。結局、そこでの作業が拙著『「豊臣大名」真田一族』(洋泉社)・『真田信之』(角川選書)の刊行につながることになりました。

 「真田丸」では、そうした作業によって発見された新たな史実が結構盛り込まれています。真田信繁が羽柴秀吉の馬廻衆であったことは、そのなかでも最大のもののように思います。もっともドラマですから、すべてが史実に忠実というわけにはいきませんが、可能な限りそれとの折り合いがつけられていました。こうしたところは時代考証としても、充分に納得のいくものでした。

 最後の考証会議の時までに、私は真田関係の書籍を4冊出していました。他の二人の時代考証者も同様だったので、合計で12冊の真田関係の書籍が、最新の研究成果として出されたことになります。そのことに対してプロデューサーの方が、「この研究成果を2年前に欲しかった」と言っていました。研究をすすめたのが時代考証にともなうものだったので、もちろんそれは無理なことですが、ここから逆に、学者は様々な研究成果を迅速に社会に発信していく必要がある、ということを強く感じました。

 ドラマはあくまでもドラマ、しかし大河ドラマは史実に沿ったドラマを謳っています。だから時代考証が付けられているんです。けれどもドラマですから、内容は必ずしも史実通りにはいかない場合があります。そうした時、実際はどうだったのだろう、と確かめることができる書籍の存在が、何よりも大事なのだと感じました。

 そのことは同時に、ドラマを通じて実際の歴史に興味を持ってもらうことになり、そうした方々が増えることが、歴史学界にとっては重要だと感じました。今回の「真田丸」は、これまで時代劇をみたことがない方々にも、多く視聴していただいたようです。そしてそれを切っ掛けにして、歴史関係の書籍を読まれる方々も出ているようです。

 時代考証として、ドラマ制作に助言する仕事を行ってきたわけですが、逆に学者は何をすべきか、何をしておくべきか、ということを、このドラマ制作を通じて教わったように思います。そうした仕事に携われたことを非常に嬉しく感じました。

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これは撮影終了後に行われた祝賀会の会場風景です。

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これは公式の打ち上げ会の会場風景です。



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