MENU
アクセス
  1. トップ
  2. 学部・研究科レポート
  3. 大河ドラマ「真田丸」ワンポイント解説(3)  

学部・研究科レポート

2016.02.08

大河ドラマ「真田丸」ワンポイント解説(3)  

法学部教授 黒田基樹

 2月7日(日)に放送された第5話では、織田信長の重臣滝川一益のセリフのなかで、信長によって「日の本から戦がなくなる」「北は奥州から南は九州まで、あらゆる大名が」信長に従う意向を示している、ということが語られていました。

 これが学術用語にいう「惣無事令」(そうぶじれい)のことです。もっとも「惣無事令」というと、信長のあとに「天下人」になった羽柴(豊臣)秀吉のものが著名であること、信長の「惣無事令」については、一般にはまだよく知られていないことから、ここでは「惣無事令」という用語は出していません。視聴者の混乱が予想されるからです。それで、内容をセリフで紹介するという工夫が取られています。「惣無事令」の用語がセリフのなかに登場してくるのは、秀吉の時代に入ってから、しばらく後の回のことになります。

 秀吉の「惣無事令」が発見されたのは、もう30年も前のことになりますが、信長の「惣無事令」については、ここ10年ほどの研究で認識されるようになったものです。武田家滅亡後、北条氏を始めとする関東の大名・国衆、奥羽の大名・国衆は信長に服属し、すべて味方同士となったため、互いの戦争は停止され、それが「惣無事」と表現されていました。また九州についても、大友氏・島津氏の抗争に和睦を要請していました。そうした状況から、「天下一統」は目前、と認識されていたのでした。

 秀吉はこの論理を受け継いで「天下一統」をすすめていきます。時代の流れは、中央政権による諸国の大名・国衆の統合としてすすんでいきます。この後のドラマの展開は、真田家はその流れにどう対応していくのかに、焦点があてられていきます。

関連リンク

学部レポート

    PAGE TOP