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学部・研究科レポート

2016.10.17

大河ドラマ「真田丸」ワンポイント解説(38) 

法学部教授 黒田基樹

 10月16日に放送された第41回は、慶長19年10月初旬、信繁が大坂城に入城する様子が扱われていました。

 ドラマでは入城の際、信繁は白髪の老人に扮装していましたが、これはもちろん創作です。ところがそれには基になるエピソードがありました。この年のことと推測される2月、信繁は姉婿の小山田茂誠に送った手紙のなかで、「急に老けて、歯も抜け、髭も黒いところがなくなった」と述べています。劇中での扮装は、もちろんこれをもとにしたもので、ちょっとしたおふざけ、といえるでしょう。こうした史実を知っていると、何気ない演出にも意味があったことがわかってくるのです。

 さて大坂城には、諸国からの牢人が入ってきていました。そのなかの有力者は、後に「大坂五人衆」と呼ばれるようになります。信繁ももちろんその中の一人です。今回、新たに後藤基次と毛利勝永が登場してきました。両者とも、一般的にはその名で知られているのですが、現在のところ、「基次」にしろ「勝永」にしろ、当時の史料では確認されていません。実際には、後藤は「正親」、毛利は「吉政」を名乗っていたことが確認されています。これは信繁における「幸村」の場合と同じく、江戸時代における創作とみて間違いないでしょう。

 おそらく江戸時代のなかで、彼らの本当の実名は忘れられ、物語を作るうえでそれでは都合が悪かったので、それらしい実名が創作されたのでしょう。こうしたことはよくあることなのですが、最近までその検証が行われてこなかったため、それらの名が広く通用し続けてしまっているのです。しかしこれを機に、改められていくことを願っています。

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これは秀頼の居室です

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続けて床の間のアップです

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