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学部・研究科レポート

2016.09.12

大河ドラマ「真田丸」ワンポイント解説(33)

法学部教授 黒田基樹

 9月11日(日)に放送された第36回は、「犬伏の別れ」から、関ヶ原合戦における真田版、いわゆる第二次上田合戦が扱われていました。

 昌幸・信繁が上田城へ戻る途中で、信幸の本拠沼田城を訪れた際、信幸の妻稲(小松殿)に追い払われたシーン、これは江戸時代から伝わるエピソード通りでした。しかし実際には小松殿はこの時、拙著『「豊臣大名」真田一族』(洋泉社)でも述べたように、大坂で石田方に人質に取られていたと考えられます。ですからこのエピソード自体は、創作と考えられるのですが、あまりに有名なので、ドラマでこれを取り上げないわけにはいきませんよね。

 そこで取られているのが、石田方が人質を取り始めたのをうけて、急遽、沼田に戻るという設定です。これでエピソードとの整合をとったわけです。大坂脱出が17日、沼田到着が22日、あしかけ6日の行程ですが、これが可能なのかどうかなどと考えるのは野暮というものでしょう。

 その後の第二次上田合戦の経緯は、おおむね史実通りですすめられています。とくに近年明らかになった、秀忠軍の当初の目的が上田城攻略、西上は家康からの突然の作戦変更によったことが、しっかりと踏まえられていました。かつては秀忠が関ヶ原合戦に遅刻し、上田攻めなんかしたからだ、ということになっていました。しかしこれも江戸時代の創作で、実際には家康の作戦変更にすぎなかったんですね。

 これまで私たちが認識していた物語の多くは、実は江戸時代の創作というのがほとんどと言ってよく、実際の史実が明らかにされるようになってきたのは、ようやく最近になってからのことなんです。

 砥石城のセットです。

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