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学部・研究科レポート

2016.07.18

大河ドラマ「真田丸」ワンポイント解説(25)

法学部教授 黒田基樹

 7月17日(日)に放送された第28回は、関白秀次切腹事件が扱われていました。前回に予告したように、今回、秀次事件については最新の研究成果に基づいて新しい描き方をしています。その結果が、自殺という設定だったのですね。

 さて今回のなかで、信幸・信繁の母の出自問題が取り上げられていました。近世真田家の記録では、公家の菊亭晴季の娘、あるいは正親町実彦の姪で菊亭晴季の養女、などの説があげられています。実際にも「京の御前」と呼ばれていたので、京都の公家社会の出身であったことは間違いないのでしょう。

 ところが昌幸との婚姻時期、昌幸はまだ武田信玄の奥近習衆(身のまわりの世話をする家臣)でしかなく、公家の娘を妻にできるような立場にはありませんでした。なので、昌幸の妻は、公家社会の出身だろうけれども、公家の娘ではない、おそらく侍女クラスだろう、と考えられています。ドラマでは、これをもとにちょっとした小芝居を仕込んできたのです。

 もう一つ、信繁の側室の一人とされる隆清院殿(ドラマでは「たか」)が羽柴(豊臣)秀次の娘とされている話があります。けれども当時の状況からすると、秀次にそのような年齢の子がいたとは考えがたい、信繁が秀次の娘を正妻ではなく側室にすることは考えがたい、などのことから、事実としてそのままには受け取れません。

 しかしこの話は、江戸時代にはしっかりとした伝えになっているのです。そのため全く無視することもできない、というわけで、ドラマでは、「たか」を救うために信繁が側室にすると言って、生き延びさせたかたちをとっています。三谷さんの想像力は、とてもすばらしいですね。

 今回のおまけは前回の続き。大坂城の主座に、なぜか座っている矢沢三十郎さんです。

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