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学部・研究科レポート

2024.03.01

法律が「すべて正しい」とは限りません―法学部の授業紹介’23(11)

「重監房資料館」に行ってきました

以前の授業紹介「自分の目で見て、歴史を学ぶ―法学部の授業紹介’23(2)で、福島大我先生が、東京都清瀬市にある「国立ハンセン病資料館」を紹介されていました。わたしも以前、学生と訪問したことがあるのですが、とても勉強になる施設でした。もうひとつ、訪れたい施設がありました。群馬県の草津温泉にある、「重監房資料館」です。今年の夏休み、念願叶って、訪問することができました。ここも、全国にあるハンセン病療養所の1つで、見学無料の資料館が併設されています。

「重監房資料館」とは

罪を犯すと、逮捕され起訴され、裁判にかけられます。裁判を受ける権利は、憲法で保障された権利だからです。しかし、ハンセン病療養所では、「問題行動のある」療養者を裁判にかけることなく、「特別病室」と呼ばれるところに閉じ込めて、治療もおこなわず、過酷な環境に置いて罰を与えていた時期がありました。中でもこの草津の「重監房」には、1938年から1947年まで、全国から「特に問題あり」とされた療養者が集められました。詳しくはぜひ、重監房資料館のホームページを参照してください。資料館では、一部、当時の姿が復元されており、厳かな雰囲気の中で、追体験をすることができます。

法律は人間が作るもの、だから間違いもある

なぜ、「裁判にかけずに人を罰する」というようなおそろしいことがおこなわれたのでしょうか。みなさんは、「法律が間違っているはずはない」と思うかもしれませんが、戦前戦中には「国家総動員法」や「治安維持法」のように、国家が不当に国民の権利を制約する法律が存在しました。同じように、「らい予防法」という法律は、ハンセン病患者を強制的に隔離し、人権を侵害する内容で、それは1996年まで続きました。
「間違った法律」は残念ながら存在します。昨今、報道で話題となっている、障害のある人々への強制不妊手術を進めた「優生保護法」に関する問題も同様です。法社会学は、法が社会の中でどのように機能しているかといったことを学ぶ学問ですが、「どんな社会背景があるか」で法の内容も位置づけも変わってきます。間違った法律は、年月が経ってから検証されることが多いですが、「現在」でも「おかしい」と思う法律については、内容をしっかり検討する必要があります。わたしが担当する法社会学では、「ハンセン病政策」「強制不妊手術」「水俣病」などを題材に、法の「正義」「正しさ」「過ち」について考えます。

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