情報処理教育センターだより(18)~情報基礎科目におけるSAの育成「春学期・濱野クラスSA反省会開催」~
情報処理教育センター 助教 濱野和人
コンピュータ・リテラシーⅠ・Ⅱ(通称「コンリテ」、春学期はコンリテⅠ)の授業では、各クラスにSAを付けることができます。原則各クラスに1名なので、担当が3クラス(3コマ)あればSAは3名、私は10クラス担当しているのでSAが10名います。
濱野クラスでは、春学期最終日の7月29日(金)夕方からSA反省会を行いました。当日は、担当SA10名のうち、7名が出席しました。
都合が付かず欠席するSAがいることを考慮し、SAたちには事前に質問を投げ掛け、回答を提出してもらいました。質問は以下の7項目です。
質問①:初めてやってみた感想はどうだったか(初対面SA対象)
質問②:他の先生のクラスと比較してどうだったか(他教員のクラスもやっているSA対象)
質問③:濱野クラスのSAをやってみてどうだったか
質問④:担当クラスの雰囲気づくりはできたか
質問⑤:SAとして対応できたこと/対応できなかったこと・対応しきれなかったことは何か
質問⑥:秋学期以降のSAとしての目標
質問⑦:あなたにとってSAとは?そもそもSAとは何だと思うか(欠席者は事前提出、参加者は当日口頭発表)
今回は、この中で質問①④⑤⑥⑦についてSAたちが回答した内容を抜粋してご紹介します(①④⑤⑥は内容を一部抽出して掲載、⑦は原文のまま)。
質問①:初めてやってみた感想(初対面SA対象)
- SAとしてどんな風にやっていけばいいか自分なりに考えてできた
- 一緒に解決方法を探すというスタンスを見つけたことでより学生との距離を縮めながらSAの仕事ができた
- コミュニケーション能力が伸びた
- 自分自身も学ぶ機会になった
- 学生にありがとうと言ってもらえた
- なるべく履修生自身で分からないところに取り組んでもらうように心がけた
- 自然なアドバイスを行えるようになった
- 元々友達に勉強などを教えるのが好きだったので、好きなことを仕事として活かすことができてとても良い経験になった
質問④:担当クラスの雰囲気づくりはできたか
- もう少し全体を見て対応できたらよかった
- クラスの雰囲気作りは明るく出来ていた
- 自分から声をかけに行く機会が少なかったため、雰囲気づくりには関与できなかった
- 学生と話す時はなるべく学生と同じ目線(物理的)にして会話するように心がけるようにした
- 自分がもう少し頑張れていれば、もっといい雰囲気を作ることができていたと思う
- 先生の話を聞かない受講生にしっかりと注意できるようにしていきたい
質問⑤:SAとして対応できたこと/対応できなかったこと・対応しきれなかったこと
<対応できたこと>-
- フレンドリーな対応ができた
- 授業以外でも課題について教えたり、コンリテ以外の授業の相談にも乗った
- 技術的な質問や授業内容に関する質問に関しては概ね全て対応できた
- 質問された内容の教科書ページを提示して教えることができた
- 保存や罫線の追加削除ページ設定などなど課題作成のために必要な手順については対応することができた
- Caps Lockなどの簡単な質問は対応することができた
<対応できなかったこと/対応しきれなかったこと>
-
- 手を挙げてくれた受講生以外の方への声かけやカバーが不足していた
- 教科書を全く見ずに回答することは出来なかった
- 自分から積極的に声をかけに行くことも出来なかった
- Googleドライブに関する質問や、WordファイルをGoogleドキュメントで開いてしまったなどの状況への対応ができなかった
- イレギュラーなことの対応ができず、せっかく頼って質問してくれたのに期待を裏切る形になってしまい悔しい
- タイピング練習を教えてほしいといわれてその人に会った練習法を教えられなかった
- 挙手している学生の存在に気づかなかったことが多々あり、対応が遅れてしまった
質問⑥:秋学期以降のSAとしての目標
- SAがどんなものかわかってきたので、質問されたり聞かれたりするのを受け身で待つだけでなく、こっちから積極的に気にかけてあげられるようにしたい
- もっと学生全員に目を配り、手を挙げていなくても様子を見て声掛けをする
- Excelの面白さや便利さを感じでもらえるような教え方ができるようになりたい
- 接しやすいSAになる
- 頼られる存在として履修生を引っ張っていけるようなSAを目指す
- ついていけていない学生をしっかりとフォローしてクラス全員を落単しないようにする
- より周囲をよく見渡す
- 学生一人一人がしっかりと理解できるようにサポートしていきたい
質問⑦:あなたにとってSAとは何か?そもそもSAとは何か?
- 私にとってSAは経験です。一度履修はしていても先生とかクラスのメンバーとかで雰囲気はガラッと違ってくると思うので、新しい経験として新鮮な気持ちでSAをやらせていただいていました。
- 私にとってSAとは、教室にいるもう1人の先生だと思っています。なぜなら、SAは授業内容に関して知識をただ伝えるのではなく、わかりやすく教えなければなりません。これは、先生方が授業で行っている事と同じです。また、質問には確実に教えることが求められます。よって、私にとってSAとはもう1人の先生であり、受講生の理解度に関係する責任ある仕事だと思います。
- コンリテの学習の万全なサポートができる、頼りになる存在。
- SAは履修生の理解をサポートするために重要な役割を担っていると思います。SAが不明確なアドバイスをしてしまうと履修生の理解も難しくなり、勉強意欲や成績の低下に直結してしまいます。そのため、SAは履修生の理解度に見合った的確なアドバイスが求められます。一方、SA側としても的確なアドバイスや適切な立ち回りが求められるため、学問の理解に加え、人間性としての向上につながると思います。
- 私にとってSAは先生や受講生の補助をすることだと考えています。先生の補助はプリントを配る、回収や授業前の準備を手伝うなど先生の負担を軽くする役割があると思います。受講生の補助は、クラスの中に先生の説明を受けても分からない子をSAがわかりやすくより丁寧に教えて授業についていけるようにしたり、受講生にアドバイスするなどの役割だと思います。
- やりがいを感じ、自分自身の成長を実感するものです。先生方と協力して授業を進めることの面白さを感じ、学生が何を伝えたいのかを理解することが難しい反面、傾聴力や広い視野が身につくことができる貴重な経験だと思います。
今年は着任1年目のため、SAたちにあまり厳しいことを言ってきませんでしたが、大学の教壇に立つようになって以降15年、濱野クラスのSAを担当する学生には「SAのロールモデル」を目指すよう伝えてきました。また、SAたちは受講生に対する学習支援をしつつ、後輩SAの育成にも目を向けなければなりません。短い授業期間内で次年度のSA候補となり得る1年生を見付ける必要があります。いわゆる人材発掘作業です。SAの採用は担当教員が声を掛ける方法(一本釣り)が一般的です。無論、私も直接声を掛けますが、濱野クラスの特徴は現役SAが後輩SAを探すところにあります。SAも受講生から「あんな先輩みたいになりたい」「あの先輩に教わったからPCが好きになった」と言われたら嬉しいですよね。
SAのロールモデルとなり、受講生たちにこう思ってもらえることが、「持続可能なSAの育成」に向けた第一歩だと思っています。
濱野クラスのSAのみならず、コンリテⅠを担当する他の教員クラスや他分野・他科目も含め、SAを担当する全ての学生が、その背中(=先輩としての格好良い姿)を見せられるよう願っています。