MENU
アクセス
  1. トップ
  2. 学部・研究科レポート
  3. 卒業生の声 秋山大志さん

学部・研究科レポート

2020.07.08

卒業生の声 秋山大志さん

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 特別研究員

秋山 大志

現代文化学部 現代文化学科 2016年卒業

山梨県立農林高等学校出身

 「どのようにしたら持久能力はより高まるのだろうか?」長距離選手であれば誰しもが1度は頭をよぎるテーマの1つです。私も、駿河台大学・駅伝部に所属して、陸上競技場の400mトラックを周回していた時に同じ疑問を抱いていました。
 運動は「諸刃の剣」といわれることがあります。運動を継続すると筋肉が発達し、持久能力が高まります。一方で、そのやり方を間違えると、トレーニング効果が得られないだけでなく、障害などを引き起こします。私は、まさしく諸刃の剣を扱うことに失敗し、大きな結果を残すこともなく競技生活を終えたひとりです。このような背景から、運動の効果を最大限に高めるためには、努力もさることながら、からだのしくみを理解する必要があるのではないかと考えるようになりました。

20200708sportscience_01.jpg

 私は、駿河台大学を卒業後、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科へと進学しました。大学院では、運動生理学という分野の研究を行っていました。運動生理学は、急性応答(1回の運動に対するからだの応答)と慢性的適応(運動を繰り返すことで得られるトレーニング効果)について探求する学問です。つまり、私にうってつけの学問でした。修士課程では「部位別の皮膚血流量に及ぼす運動強度の影響」というテーマで研究を行いました。長時間に亘る運動時では、筋肉は運動に必要となるエネルギーの供給を受けるために多くの血液が必要となります。
 一方で、皮膚も運動で生じた熱を放散するために多くの血液が必要となります。私は、これらの重複した生理的要求に、からだがどのように応えるのかという点に着目し検討しました。その結果、運動時にはエネルギー供給(循環調節反応)と体温調節反応が同時に行われますが、高強度での運動時には循環調節反応を保つために皮膚血流量の増加が一部抑制されること、また、この皮膚血流量増加の抑制反応には身体に部位差が生じることを明らかにしました。

 大学院生活はそのほとんどが苦学力行の日々で、特に 2つのことで苦労しました。1つ目は、信頼性と妥当性の高いデータを測定することです。至極当然ではありますが、研究の肝となるデータを正確に測定することは大変重要です。しかし、実際に自らデータを測定してみるとなかなか思うようにデータを得ることはできませんでした。そのため、多くの時間を割いて予備実験を行いました。この経験を通して、得られるデータを漠然と受け取るのではなく、思慮深くデータ・情報に向き合うことの大切さを学びました。
 2つ目は、深い知識と 高いマインドを身につけることです。大学院には、私とは比べ物にならないほど勉学に励み、それを積み重ねてきた人々が多く存在しました。また、能力が高いだけでなく研究に対してとてもストイックに取り組まれていました。このような環境に身を置いたことで、知識を得るだけでなく、何事に対しても誠実に全力で取り組むことの大切さを学びました。

 学生生活を振り返ると、苦労の絶えない日々でしたが、その分だけ成長できたことも多かったのではないかと感じています。そして、自身が成長していく感覚はとても楽しく有意義な経験となりました。皆さんも、駿河台大学での学生生活を主体的に過ごすことで有意義なものにしてください。その経験は、きっと今後の糧になると思います。

20200708sportscience_02.jpg

学部レポート

    PAGE TOP