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学部・研究科レポート

2019.12.04

NPO法人埼玉児童思春期精神保健懇話会東部地区・西部地区・北部地区と共催の講演会を開催しました

 11月30日(土)13:00から、荒木浩二氏(児童養護施設 雀幸園 ケースワーカー)をお招きし、大学院心理学研究科がNPO法人埼玉児童思春期精神保健懇話会東部地区・西部地区・北部地区と共催の講演会「ある児童養護施設の現状と課題-ファミリーソーシャルワークの視点も交えて-」を開催しました。NPO法人埼玉児童思春期精神保健懇話会は、児童思春期の精神保健に関わる様々な職種の専門家あるいは専門家を目指す学生達が、子ども達を支援するために職種という垣根を越えて集う会です。

 当日は地域の子どもの教育、援助に携わっておられる専門家に加え、心理学専攻の大学院生や学部の学生も参加して盛会でした。
 近年子ども達が直面している虐待問題、発達障害の問題、養育や教育の問題等についてさまざまなかたちで報道されています。子ども達への支援の必要性も同時に指摘され続けています。しかしその割には、子ども達がどこでどのように支援を受けられているのかという具体的な事情を知る機会は少ないです。今回の講演会では、長年児童養護施設で子ども、そして親御さんにも携わってこられた荒木浩二氏より、児童養護施設の概要を説明していだき、その上でいかに子ども達への支援を行っているかについて解説いただきました。学生達にも分かりやすいように、荒木浩二氏が実践してこられた愛情あふれる支援の在り方をお示しくださいました。

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 また時代と共に変わってきている児童養護施設の現状と支援の課題について触れながら、守秘義務を遵守するという前提で、事例も交えてお話しいただきました。氏はファミリーソーシャルワークを専門とされており、子どもだけに注目して支援を行うのではなく、親に対してもケアを行うことを大切にされています。ともすると支援を必要としている子どものみに目が向きがちですが、親が子どもを抱える余裕がなかったり、親自身が「家庭」というものを経験してこなかったりと、さまざまな事情があるため、子どものケアと同時に親へのケアを行い、そして「家族を再統合」することが、結果的に子どもを支援することになるのだという点は、心理職としての援助を行っている立場からも非常に共感できました。同時に、こういった支援には年数をかけてじっくりと取り組んでいく必要があるというお話から、氏をはじめ現場の支援者の方々の粘り強くたゆまぬ努力を感じとり、頭が下がる想いでした。非常に臨場感ある講演を拝聴し、支援を必要としている子も親も、家族が家族として再統合する道は簡単ではないことも改めて実感しました。具体的な話が随所に盛り込まれていましたので、学部の学生にも分かりやすかったようでした。

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 日頃から子どもたちのケアを行っている氏のお人柄や雰囲気も伝わってくるご講演で、盛りだくさんの内容でしたが、氏のお話にぐっと引き込まれてあっという間に時間が過ぎてしまいました。子ども達に接し支援する者として、支援する子どもはもちろんのこと、その子どもが属している家族に対しても、いろいろな角度からなにをどのように読み取っていくのか、その上で専門職として何ができるのか、支援の向かう先をどのように考えるのか等、目先にとらわれず総合的に見ていく視点を教えていただきました。

 今回は質疑応答の時間をたっぷり設けることができましたので、大学院生はもちろんのこと、学部の学生も積極的に質問をする機会をいただきました。沢山の質問が出て質疑応答の時間を延長するほどとなりましたが、さらに講演会後に学生たちが氏に個別に質問する姿も見られ、学生達の興味関心を刺激していただいた講演会であったことが改めて分かりました。

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