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学部・研究科レポート

2020.10.12

現代文化学部教員インタビュー(15)平野和弘准教授編

 このシリーズでは、本年度(2020)より駿河台大学に新設されましたスポーツ科学部の担当教員に話を伺い、お伝えしていきます。当シリーズの本年度インタビュアーはスポーツ科学部准教授の信太直己です。よろしくお願いします。
 第2回目の今回は、准教授の平野和弘先生に質問をしました。


20201006sport_01.jpg平野先生

主な担当科目を教えてください。

保健体育科教育法、生徒指導、特別活動の指導


 本学部で取得できる保健体育教員免許に関連する授業が多いですね。保健体育教員を目指す方は平野先生にお世話になることになることが多いでしょう。

専門領域もしくは、今最も関心を持っている研究について教えてください。

スポーツ教育、教科教育学、学校と社会の接続、若者支援など多岐にわたっています。その延長線上に、沖縄の課題や、水俣病について、研究をしています。様々な社会の事象や課題に向き合い、教育という行いを通して、解決の糸口を見つける。それが私の研究の基本です。

今の専門に進んだきっかけを教えてください。

影響を与えたのは学生時代に呼んだ本多勝一「殺す側の論理」「殺される側の論理」です。物事は多面的に存在し、私たちは構造的に把握することが求められていると教えてくれた本でした。その後、学校現場で教師として働き、目の前にいた青年たちに、一つの事実は一つの原因で出来上がっていないことを教えられ、教育という行いを様々な目線から追うことになりました。教師の学びこそが、教育の課題に向き合う力になるとの確信で、様々な領域から教育に向き合う中で、そのほとんどが、人の成長という言葉でつながっていると確信しています。


 平野先生は、以前は定時制高校の教員でしたね。昨年の駿輝際で、そのころのドキュメンタリー映画「月明かりの下で」が放映されましたね。

せっかくなので、この記事をご覧の方に「月明かりの下で」の紹介をお願いします。

「月あかりの下で」は私がかつて勤務した夜間定時制高校の記録です。不登校や経済的理由で学校から離れてしまった子どもたちや、社会や学校や大人に不信感を持ち、暴力でしか自分を表現できなかった若者たちが、居場所を自らつくり、そこを学びの場所にしていった事実を記録してあります。カメラは私が担任をした4年間を追いながら「教育とは何か」を問い続けています。そして私の「教育」を考える原点もここにあります。また、以下の賞を受賞しています。

 平成22年度 文化庁映画賞 <文化記録映画優秀賞>

 2010年度 日本映画ペンクラブ <文化映画部門 第1位>

 第35回 日本カトリック映画賞

 2010年 第84回キネマ旬報ベスト・テン <文化映画 第2位>

 第28回 日本映画復興賞 <日本映画復興 奨励賞>

 第16回 平和・協同ジャーナリスト基金賞 <荒井なみ子賞>

 あいち国際女性映画祭 <愛知県興行協会賞>


 かなり多くの賞も受けているのですね。私も見ましたがとても面白い映画でした。興味のある方はぜひ見てください。

ゼミではどのような活動を行っていますか?

昨年のゼミ合宿は水俣でした。支援団体にお世話になり、患者さんとの交流や、フィールドワークをしてきました。そして、現地でのつながりを実感しました。学生たちは本当を知る手がかりをつかんだようです。次回は沖縄へ向かう予定です。沖縄の現状や、若者たちが何を考え、自分たちをどのように育てているのかを、実際の沖縄の人と交流しながら学んできます。物事は実際に行ってみなければわからないことがある。これがゼミでの基本路線です。スポーツや教育や社会を窓に、私たちが生きていくために必要な「考え方」「取り組み方」「つながり方」を学ぶゼミです。

20201006sport_02.jpg水俣ゼミ合宿

水俣病の研究として、ゼミ合宿で現地に行ったわけですね。支援団体の方や患者さんとはどのような会話をしたのですか?

水俣ではフィールドワークが中心となりました。まず学生たちは、現地の支援者の方の案内で水俣病の原因企業や、資料館、メチル水銀が流された水俣湾など街巡りに取り組みました。その中で水俣市民ホールで開催されていた地域の方々の音楽祭に参加し、胎児性患者さんと出会うことになります。宿泊は、水俣病患者さんたちを支援する相思社という場所でお世話になりましたが、3泊4日のゼミの中で、毎晩のように遅くまで水俣についての振り返り、時には支援者の方々と「水俣の意味について」語り合ったようです。最終日は胎児性患者さんたちとの交流がメインとなり、彼らの思いや、現状を聞き取り、「知らなかった事実」と「伝えなければならないこと」を自覚した様です。

20201006sport_03.jpg患者さんとの交流

先生はどのような大学生でしたか?

水泳に明け暮れていました。泳ぐことが毎日の基本にあり、その延長線上に人とのつながりや、研究がありました。いろんな考えを持つ他者と出会うことで、今の私が出来上がったと思っています。一つのことに打ち込むことの楽しさや、他者との交流で見えてくる新しい地平の発見の喜び。大学で本当の意味の「学び」を実感しました。

私も学生時代に水泳をしていました。スポーツと勉強を両立する為に心掛けていたことはありますか?

正直、水泳が中心で、一般的な勉強ということはおろそかにしていました。ただ、部活動内での読書会や、社会的な課題に向けての討論はよく行っており、そのための基礎知識を求めて、図書館や書店には通ったものです。何しろ本をよく読んでいました。それが水泳と勉強の両立、だったのかもしれません。本を読む、今、学生にとって一番大切な勉強ではないかと思っています。


 勉強の仕方は様々ですよね。特に専門分野になってくると高校時代までとは違うやり方のほうがはかどることも多いかと思います。皆さんも大学に入ったら自分なりの勉強法を探してみるのも良いかもしれません。

学生の皆さんへのメッセージをお願いします。

大学生活について「社会に出るために4年間の猶予が与えられたのだ」とのべた心理学者がいましたが、まさにその通り、この猶予をどのように使うのかが、大学生活を意義あるものにするのか、無駄な時間にしてしまうのかを決めると思います。その決定が自分にゆだねられている、その自由さ開放性、大学でしか実感できない、自分の成長を見つめてください。

スポーツ科学部 准教授 信太直己

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