お知らせ

学生の皆さんへ-退職される先生方からのメッセージその2-

2017/03/25コラム

 卒業シーズンとなりました。
 3月は学生たちの卒業を迎えると同時に、退職される先生方とのお別れの時節でもあります。現代文化学部では、本年度をもちまして2人の先生が退職されることになりました。福永昭先生(観光学)、増田久美子先生(アメリカ文学)です。
 長年本学の教育に熱心に取り組まれてきた先生方から、とても大切なメッセージをいただきました。先生方の思いが、どうか皆さんに届きますように!

ハリネズミと狐と現代文化学部

現代文化学部 増田久美子教授

20170321gendaibunka_07.jpg 「狐はたくさんのことを知っているが、ハリネズミは大きなことをひとつだけ知っている」。文学・歴史・哲学の分野で大きな功績を残したユダヤ人学者のアイザイア・バーリンは、この古い詩句から着想を得て、『ハリネズミと狐』(1953)を著しました。そのなかで、彼は世界的な作家や思想家をふたつのタイプに分類して解説しています。

 ハリネズミは、ただひとつの普遍的なビジョンや体系を中心にして、自分の思考を一元的に組み立てていくタイプ。いっぽうの狐は、ばらばらに拡散している多様な対象を、自分のなかに取り込んでいくタイプです。有名な話なので、多くの人たちが引用してきました。ちょっとウェブで検索をかけると、こんにちでは、ハリネズミと狐の象徴性はかなり単純化され、次のように捉えられているようです。

 強気なハリネズミは、自分が一度決めた考えを曲げることなく、わが道を突き進む。いっぽう、意志薄弱な狐は、他者のさまざまな考え方や意見に耳を傾けることで、自分の考えや態度を決める──

 ある経済人によれば、現代のように変化の著しい社会では、将来を予測しながら決断をするときに、ハリネズミの潔さは大失敗を招くとしてあまり奨励されていない、とのこと。それに対して狐は一貫性に欠け、優柔不断に見えるけれども、めまぐるしい変化に柔軟に対応できるため、常によい方向に進むことができると考えられているようです。

 そこで、もう一度バーリンの著書に立ち戻ってみましょう。彼はどちらかに優劣をつけて軍配を上げることなく、狐のような多様性とハリネズミ的な普遍性の両方を兼ね備えた人物について、議論をしています。わたしは、この狐とハリネズミが共存しているような人間に魅力を感じます。

 とはいえ、やはりこう聞かずにはいられません。みなさんは、自分がどちらのタイプだと思いますか。ハリネズミ、それとも狐でしょうか?現代文化学部での学びを通して、文化の「普遍と多様」の意味をぜひ考えてみてください。



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