現代文化学部 法学部からのお知らせ

【現代文化学部長からのメッセージ(最終回)】 殻を破り羽化せよ

2011/03/22 コラム

 学生の皆さん。3月11日の未曾有の大地震と大津波、それに続く原発事故と計画停電で日本は大混乱の中にありますが、ご無事でしょうか? 被災された方がおられたら、学生支援センターのほうにご連絡ください。

 さて、私の学部長としての任期も後わずかになりました。今年度は、「現代文化学部長からのメッセージ」として、その時々に思うことを書いてきました。すでに26本のメッセージを出してきましたが、27本目のこれが最後となります(今までのものを御覧になりたい方は現代文化学部のHPへ)。今まで駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 私は、この3月末で、学部長を辞めるだけでなく、駿河台大学の教員を定年退職することになります。大学創立から24年間、経験した3つの大学のうち最も長く勤めました。専攻分野が細胞学であったので、前の大学(東京大学・立教大学)にいたときには、電子顕微鏡などの大型の機器などを用いて研究を行っていましたが、駿河台大学では、そのような実験研究は断念し、生命科学のメディエーター(専門家と一般市民の間の伝達者)として努める一方、多くの力を大学づくりに注いできました。ここでは大学で何をつくってきたかの一つ一つを挙げることは控えますが、最も心掛けてきたのは「学生が生き生き、伸び伸びできる環境づくり」ということでした。

 私はよく大学を舞台に例えます。もちろん演ずるのは学生のみなさんです。観客は父母であり、地域であり、学生を送っている高校教員などです。教職員は、演劇を価値高いものになるようにお膳立てする演出家とその助手、さらに装置を整えたり照明を担当したりする裏方さん達です。前にNHKクローズアップ現代で『私立大学が変わる』というテーマで放映されたとき、インタビューに応じて、思わず「学生はお客さんです」と口走ったところだけ映されてしまいましたが、本当はお客さんなどと私は思っていません。あくまでも、舞台上の俳優です。つまり大学の主役なのです。もちろん、学生のみなさんが本当に演ずるのは劇場の外の社会なのですが、演じ方を身につけ、自信をもって、外の世界へと旅立って行ってもらうのだと思っています。それをつくづく思ったのは、大学設立のとき、建物をつくり、教室をつくり、運動施設をつくり、教授陣を整えましたが、本当に大学ができたと実感したのは、学生が入学してきた時でした。入学してきた学生たちを見ていて、ああ学生が大学の主役だな、魂だな、と心から思ったのでした。

 あれから24年、駿河台大学は大きく発展しました。法学部1学部のみから5学部になりました。キャンパスも広がりました。そして、昼間は学生で満ち満ちています。最初300人余りの学生数しかいなかったのに、今では5000人近くになっているのですから、何だか信じられない気持になるときがあります。この大学がもっともっと発展、充実して、社会に有用な人材を送り出し続けてほしいと願わずにはいられません。

 学生のみなさんに贈りたい最後の言葉は、「大学は蛹の時期、殻を破り羽化せよ」です。人間、知らず知らずのうちに、自分の「殻」を作ってしまいます。自分の能力はこんなものだ、できることなど高が知れている、なるようにしかならない、などと思ってしまいがちです。みなさんもそのように思ってはいませんか。しかし、みなさんはまだまだ未知数の存在です。「殻」をつくるのは早過ぎます。高校までの成績がどうだったからなどで人生が決まってしまうものではありません。24年間、この大学で学生とふれあってきて、「化けた」学生を何人も見てきました。「殻」を破り、挑戦し、大きく成長した先輩がいっぱいいるのです。まさに、昆虫の羽化(変態脱皮)そのものです。多少生物学の話になりますが、完全変態するチョウなどの昆虫の場合、幼虫は何回か脱皮(幼虫脱皮)し、蛹(さなぎ)になりますが、蛹の体内では劇的な変化が起こり、内臓などが溶けていき、それを材料に新しい内臓が作りかえられるのです。そして、変態脱皮して、成虫となって飛び立つのです(それを羽化という)。大学は、この蛹の段階の羽化までの時期だと、大学教員になってからずっと思い続けてきました。

 もちろん、生涯ずっと学び続け、挑戦し続けるのが人間ですが、大学はその最初の変態脱皮です。授業で、演習で、クラブ活動で、留学で、アウトキャンパス・スタディで、駿輝祭で、などなど、目標に向かって一生懸命取り組んで、活躍し、失敗し、笑い、泣いて、変態脱皮して卒業していくことを祈っています。この大災害の逆境でさらに鍛えられ、より強くなって、活躍してほしいと願っています。

 私は、この大学で、私自身の夢に挑戦し続けることができました。本当に幸せ者だと思っています。在学生と卒業生のみなさん、そして、ともに夢を追った同僚のみなさん、それから、助けていただいたご父母や地域のみなさん、本当にありがとうございました。

(現代文化学部長 吉田 邦久

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