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学部・研究科レポート

2025年、米価高騰を抑えるために政府備蓄米の売り渡しが始まりました。備蓄米は、スーパーなどの小売店で、銘柄米(産地や品種が指定されている、通常のお米)と比べて5キロ当たり500円~1000円程度安い価格で販売されています。何年も前のお米だから…と備蓄米を避けた人もいるかもしれませんが、本当のところ、備蓄米の食味はどうなのでしょうか?

お米の食味試験には、アミロース(粘り気)、タンパク質(食感)、水分(食感)、脂肪酸(味や香り)などを機器で数値化して評価する理化学的測定と、専門家が炊いたお米から色、香り、味、粘りを感じ取って評価する官能検査があります。

備蓄米については、水分含有量がやや少ないため弾力性に欠け、脂肪酸の酸化によりお米の独自の甘みや香りを感じにくくなることもあります。これらは長期保管による劣化のため避けられませんが、標準的な銘柄米と比べて数値上の差はあまりありません。また、お米の研ぎ方や炊飯時に米油を加えるなどの工夫をすることで、食味は改善されます。

それでも、備蓄米と銘柄米の間に大きな価格差があります。食味には大した違いがないにもかかわらず、私たちが認識する価値は大きく異なる―こうした消費行動の複雑さも経済経営学部で学べます。

執筆者:経済経営学部准教授 石川清貴

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