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学部・研究科レポート

「ツイ廃」という言葉を聞いたことはありますか?

旧Twitter(現X)で四六時中ツイートしていたユーザーたちのことを「ツイッター廃人」略して「ツイ廃」と呼んでいました。Twitter社はほとんどの期間で営業赤字でしたが、ツイ廃を筆頭とした熱心なユーザーを数多く抱えていたことから投資を呼び込んで、それによってサービスを継続できていたのです。そして企業や自治体が公式アカウントを作って情報発信するなど、単なるSNSの枠を超えて社会インフラの側面も併せ持つまでに成長したことは、皆さんもご存じだと思います。

少し時代をさかのぼると、2000年代のオンラインゲームには「ネトゲ廃人」が存在していました。当時は次々に新しいMMORPG(大規模オンラインRPG)がリリースされており、睡眠時間を削って仕事以外の時間は常にオンライン上でモンスターを狩っているプレイヤーが世界中にいたものです。かく言う私もまた、ネトゲ廃人となって人生を狂わせたひとりです。皆、今はどうしているのでしょうか。

このように、インターネットのサービスやコンテンツが流行する際には、「廃人」になるほど夢中になる人たちが必ず存在します。その熱気が人を集め、人が投資を呼んで、大きく発展するのです。

では、最近話題のメタバースはどうでしょうか。「メタバース廃人」はいるのでしょうか。

メタバースとはインターネット上に構築された仮想空間で、自分の分身であるアバターを使って他者と交流したり、ライブに参加したりすることができます。2021年にはFacebookが社名を「Meta」に変更するなど注目を集め、世界中で投資ブームとなりましたが、現在では落ち着いています。その理由はいくつか考えられますが、ユーザーが盛り上がるよりも先にビジネス視点の投資が先行して目立ってしまったことで、ユーザーが冷めてしまったきらいがあるようです。ユーザーがいない場所に経済圏はできません。この点が、メタバースが失速しているように見える理由のひとつでしょう。

しかし、メタバースに未来はないのかと言えば、そんなことはありません。仮想空間では場所や身体上の制約がないため、児童生徒の不登校支援や障碍者の就労支援といった教育・福祉分野での活用は進むでしょう。また、自分の分身であるアバターは着せ替え自由であるため、アニメやコスプレのようなサブカルチャーと親和性が高く、文化輸出のきっかけになるかもしれません。

要するに、メタバースは熱中する人がまだ少ないだけで、技術としての可能性は秘めていると言えます。臨場感のあるワールドワイドな仮想空間を活かして、世界中に熱心なファンの多い日本のコンテンツ産業がメタバース上でさらに発展する未来が、いずれやってくるかもしれません。そのときにはきっと、「メタバース廃人」略して「メタ廃」と呼ばれるような人々もまた、数多く生まれるのではないでしょうか。

原稿執筆者:経済経営学部准教授 太田 康友

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