MENU
アクセス
  1. トップ
  2. 学部・研究科レポート
  3. 「主体的で対話的で深い学び」に込められた学校教育の楽しさ

学部・研究科レポート

2025.05.27

「主体的で対話的で深い学び」に込められた学校教育の楽しさ

学校教育は現在、実践的・制度的に、全面的なリニューアルに取り組み中です。多様な個を活かす協働的な学びの定着、管理・指導・指示・命令口調のタブーといったように、自主性や主体性を育む生命力に満ちた支援的な教育関係・風土のもと、生徒も教師も互いの個を尊重し学び合う、「社会的な育ちの場」としての学校に生まれ変わりつつあります。

この記事を読んでくれているあなたも、「主体的で対話的で深い学び」をベースとしたアクティブ・ラーニング型の学校教育を当たり前に身体化しているかもしれません。しかしそのことは、戦後ながらく学校文化を支配してきた正解主義や集団管理が、「教育」という名目の下、教師(権威)の指示を(考えを挟まず)従順に聞ける生徒の態度や、同調圧力への個の適応を評価してきた、「受動的で強制的で浅い勉強」からの撤退を意味しています。

大きな教育改革の背景には多くの人々の生命/個/協働を犠牲にしてきた歴史的な痛みがあります。学校教育は、生活経験の違いに基づく「考える力」=「個性」の交流・育成よりも、「目的を問わず空気を読む力の習得」を急ぐ中で、多様な個人や集団に対して、必要以上に不寛容で抑圧的に働いてきました。(傍観者を含む)いじめやハラスメントの日常化、ルール遵守の目的化、そして不登校の増加は、個々の考える力を軽視してきた画一的な学校文化の否定的な作用とも言えるでしょう。

ようやく、誰をも置き去りにしない国際的な目標を掲げる学校運営のもと、一人ひとりの「考える力」=「個性」を、集団の中で「表現し調整しあう自由」=「学びの作法」が、学校体育の授業を含め、教科横断的に本格化する段階にあります。異なる他者の(声なき声を含む)気持ちや考えに応答しあう、多彩な学習体験の積み重ねは、今後の価値多様な共生社会に要請される、自己信頼と相互尊重の歴史的な共同実験であることにも、学びの本来的な楽しみや勇気づけを見出すことができると思います。 
執筆者:スポーツ科学部准教授 鵜海未祐子 

関連リンク

学部レポート

    PAGE TOP