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学部・研究科レポート

2025.03.11

絶叫系アトラクションはお好きですか? -「スリル」に対する人の態度について-

皆さん、遊園地はお好きですか?
また、遊園地のどこが好き(嫌い)ですか?
遊園地には、さまざまなアトラクションがありますが、これらのアトラクションに共通するキーワードの一つに、「スリル」が挙げられます。遊園地はスリルで満ち溢れています。シューティングゲームで敵を拳銃で撃ったり無免許で園内のゴーカートを動かしたりなど、日常では体験できないスリルを安全面に配慮され、かつ怒られない形で味わうことができます。一番、好き嫌いが分かれるのは、ジェットコースターなどの絶叫系でしょう。(スカイ)ダイビングもその例です。さらにエクストリームスポーツや未踏峰への挑戦など大怪我や命の危険を伴う場合もあります。

ハンガリー出身の精神科医、精神分析家であるM.バリントは、遊園地から着想を得て、「スリル」に対する人の態度や世界観、言動を、彼なりの造語でフィロバティズムとオクノフィリアという対象関係概念で表現しています。海や空など何もない自然に、自分の持ち合わせたスキルを信じて飛び込む方向性(フィロバティズム)と、何か人や物が身の回りに集め、置いておきたい方向性(オクノフィリア)があり、「スリル」を好むのは前者だとしています。平たく言い過ぎかとは思いますが、不安の解消やストレスの発散の際に、とにかく海や山などにレジャーに行きたくなる人と、あれこれ買い物をしたくなる人といえば想起しやすいかもしれません。また、人生でも、リスクがあろうと挑戦を続ける人と堅実に人生設計をする人、恋愛でも危険な綱渡りをしたい人と着実に愛を育みたい人がいます。

実際には、フィロバティズム、オクノフィリアを極端に体現した人は稀で、その両側面を持ち合わせていますが、バリントのように遊園地における「スリル」への態度が、ある個人の生活態度、人生や、恋愛にも共通すると考える点は、とても面白いと思います。

参考文献

  • Balint, M. 中井久夫(訳)(1991). スリルと退行 岩崎学術出版社

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