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学部・研究科レポート
投影法特論:ロールシャッハ法の実践的理解
川邉 讓 教授

大学院進学やどの領域で働こうかと考えている人にとっては、実際の受講者の感想が参考になると思いますので、それを紹介しつつこの授業について書くことにします。
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授業を受けるたびにその面白さに魅了されています。ロールシャッハから被検者の心の動き、適応機制、考え方などの容易には見えないものが読み取れることに、魅力と臨床心理の世界の奥深さを実感しています。
川邉:テスティの体験過程を追体験する姿勢を持つことできることがこの授業の目標の一つです。この学びはロールシャッハ法のみならず心理臨床能力一般を高めるために非常に重要だと考えています。
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同じインクのしみを見ていても、人によって見えてくるものが違いますし、時にはよくそんなものが見えるな~と感心することもあり、そんなところに面白さを感じます。
川邉:人によって見え方が違うという素朴な「事実」に意味や魅力を見出すことが投影法を学ぶ第一歩であり、臨床心理学の第一歩でもあると思います。
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ロールシャッハ反応の解釈を通して、「ありのままに相手をみる」ことの難しさと、その奥深さを感じています。「何についても、見ようとしなければ、見えてこない」という臨床心理専門職としての基本姿勢も教えていただきました。
川邉:知識や技能はもちろん必要ですが、それを適切に生かすことができるかどうかは心理職の臨床への姿勢にかかっています。私は、まずはそうした心理職としての姿勢を学んでほしいと思っているので、うれしい感想です。
なお、無理に何かを見出そうとすると間違えます。自然に見えてくるまで一生懸命にみるという姿勢が大事です。
なお、無理に何かを見出そうとすると間違えます。自然に見えてくるまで一生懸命にみるという姿勢が大事です。
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ロールシャッハ事例を自分でスコアリングして分析するのはとても興味深く、解釈を行っていくのはとても勉強になります。また、実際の現場で働いていた先生の解説を聞くことができて、学ぶことがとても楽しいと感じています。
川邉:臨床では、聞くだけ、読むだけではなく、実際にやることが重要だという意識で授業を進めています。その意味で演習的要素もある授業と言えます。
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数多くの有名事例などの分析解釈をしてきた臨床実践者に直接教授して頂けます。外部で受けるとなると、かなりお高い講習会等を授業の一環で経験できるのは、この授業を受ける者の特典だと思います。
川邉:ロールシャッハ法に限らず臨床心理では、教科書に書いてあることがそのまま実際の事例に当てはまることはないです。この授業では、実際の事例を通じて教科書等を参照しながらも、クライエントに固有の何かを見つけるようとする姿勢を身に付けてもらいたいと思っています。
以上、受講者の感想にコメントを付ける形で、授業の内容を紹介しました。
授業は、ロールシャッハのスコアリングや分析解釈の前に、投影理論、空間象徴理論、象徴的解釈理論を受講者にちょっとした体験してもらいながら解説し、その後にロールシャッハ法を、事例を通じて学ぶことにしています。ロールシャッハに限らず投影法はすべて、実施法や解釈法の基本を学ぶだけでは足りず、「投影(投映)」について、より深く、広く理解していないといけないと思うからです。また、この授業では、統計的なエビデンスとの照合とともにイディオグラフィックなものを徹底的に追求する姿勢も学んでほしいと思っています。
授業は、ロールシャッハのスコアリングや分析解釈の前に、投影理論、空間象徴理論、象徴的解釈理論を受講者にちょっとした体験してもらいながら解説し、その後にロールシャッハ法を、事例を通じて学ぶことにしています。ロールシャッハに限らず投影法はすべて、実施法や解釈法の基本を学ぶだけでは足りず、「投影(投映)」について、より深く、広く理解していないといけないと思うからです。また、この授業では、統計的なエビデンスとの照合とともにイディオグラフィックなものを徹底的に追求する姿勢も学んでほしいと思っています。