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学部・研究科レポート

2023.07.29

研究科の授業紹介:犯罪心理学専攻-纓坂英子教授

応用社会心理学特論 権威への服従:アイヒマン実験を輪読する

会社の上司の命令に従って部下が不正を働く、医師や飛行機の機長の理不尽な命令に従うなど、社会的役割の非合理性や集団圧力は、犯罪の源泉の一つでもあります。権力者が命令を下し、人は自分の意に反することであっても正当な権威からの命令であれば、それに従って行動します。

ナチス親衛隊のアイヒマンは、ユダヤ人を強制収容所に移送した責任者でした。戦後の裁判でアイヒマンは、自分は「上からの命令に従った」だけなので無罪を主張しました。

ミルグラムは「学習における罰の効果」称して、実験協力者を公募しました。具体的には実験協力者を2人一組として1名は生徒役のサクラ、本物の被験者は教師役を務めました。生徒役が対連合学習課題を間違うたび、教師役は電気ショックの強度を上げる役割が付与されています。教師役が実験中止を求めても、実験者は継続を指示し、被験者がどの程度の電気ショックを与えるかを調べました。40名の被験者のうち65%が実験者の指示に従い、最も強い水準の450Vまで送電し続けました。

ミルグラムの実験は、集団の中での地位に過剰適応して自立的な個人であっても、合法的な権威からの命令を遂行する代理人状態に移行し、その責任は自分にはないと感じてしまうこと、集団の中での地位に過剰適応して集団の中の権威からの命令があればそれに服従してしまうなど、権威のネガティブな側面を浮き彫りにしただけでなく、被験者の権利を守るために研究倫理の必要性に関する議論を喚起しました。

授業ではこのような行動を社会心理学的に理解するために、戦後の社会心理学の研究動向を振り返り、ミルグラムの研究を再評価しながらに英語論文を輪読しました。

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