狐塚 賢一郎(現代文化学部教職課程委員)

狐塚 賢一郎(現代文化学部教職課程委員)

四半世紀前の大学時代の教育実習を今でもよく覚えている。小学校での4週間、中学校での2週間。今は大学教員という少し畑の違う仕事を選んだわけだが、自分の教員としての原点は、大学時代の教育実習にあったと感じている。

教育実習で担当した授業も決して満足のいくものではなく、反省の方が大きかったことしか覚えていないが、そこでの経験は「絶対教員になろう。」と決意を新たに、そしてさらに熱くしてくれるに充分すぎる密度ももったものだった。

それは、児童、生徒のみんなが向けてくれるまなざしの輝きと透明さ、そこでの人間関係の純粋さ、若い彼らがぶつけてくれるパワー。具体的に肌で感じる実習での現場はそれまで漠然と憧れ、想像し、夢見ていた「教職」以上の「やりがい」を感じさせてくれるものであった。

しかし今、ふと怖くなる自分もいる。「あの頃の自分は、子ども達が与えてくれる信頼や愛情に答えるだけの真摯さで彼らに向かうことができていただろうか」

教職を志す学生諸君を大いに歓迎したい。

その上で教職への第一歩を、真摯に自分と向き合うことから始めて欲しい。

自分が子ども達に伝えたいことは何なのか。そのために何が足りないのか。足りない部分を埋めていくために必要なことは何なのか。

そのための努力と歩みを止めないことがなにより教職という目標を現実にするために必要な素養であると思う。



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