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2016/06/22
「デザイン基礎」は、専門のコースに関わらず、広く造形の基礎を学ぶ科目です。今年度の担当は、井上助教。
春学期前半は、美術・デザインに関わる人が一度は描くであろう「石膏像」をモチーフとして描写を行いました。石膏像は「マリエッタ」と呼ばれる女性の胸像です。
自然物にしろ人工物にしろ、現実の何かを見て、じっくりそれを描く、という体験をしたことがある人は多くはないのかもしれません。
1枚のデッサンを描くだけでも、画面(画用紙)の中にどのようにモチーフを収めるのか、光がどのようにモチーフにあたりどのように陰ができるのか、などを考えることになります。それは、目の解像度を上げ、観察力を養う訓練を体験するとともに、自分のものの見方を考える時間を体験することになります。
このような描写がまったく初めての学生、高校で体験したことがある学生など、様々でしたが、熱心に取り組む姿がみられました。
初学者には、物の形を描くときに、どうしても輪郭線で形を捉えようとする、という傾向があるように思います。もちろん、それが悪いわけではないのですが、光の面として形を捉えるという方法もあります。そのことを体験して欲しくて、鉛筆による描写の間に、11段階の白から黒までの明るさのシールを用い、石膏像の明暗を捉えてもらいました。
鉛筆による描写よりも、石膏像を「立体」として把握できている作品、シールによる描写を体験したことで、鉛筆による描写力が上がった作品も見られました。
課題を行う時間は限られていますので、1つの課題でなるべく豊かな体験をして欲しいのです。
シールによる描写以外でも、自分が選んだ好きな描画材で、同じ石膏像を描いてもらう時間を設けました。道具が異なっても、似たような描写になる傾向が見受けられ、何かを見て描く、というのが技術や道具の問題ではなく、ものの見方の問題なんだということ考えて欲しい作業です。あわせて、個性というものがすでに自分の中にある、ということに気づいてもらうことも意図しているのですが、各自の工夫による思い掛けない表現が見られるのも、また楽しみの一つです。
春学期も残り半分を切りましたが、次は、色彩をテーマとした課題に取り組んでもらう予定です。
今後につながる何かを授業から得て欲しいと思っています。