現代文化学部 法学部からのお知らせ

岩手県・かやぶき民家を訪ねて

2016/04/09 コラム

現代文化学部 平井純子准教授

 岩手県一関から車で1時間ほど走ったところに、懐かしい田園風景が広がる千厩(せんまや)という地域があります。この地域には、伊達藩の文化を継承したかやぶき民家が多く点在しているのですが、近年、急速にその姿を消しています。先祖から受け継いだ家を守らねばならない、と活動しているのが、18世紀に建てられたかやぶき民家で岩手県指定文化財に指定されている「村上家」の村上和子さんです。

 村上さんとの出会いのきっかけは、朝日新聞の「ひと」欄に今年1月に筆者が掲載されたことでした。2009年、同じ欄に掲載された村上さんは、何かを感じられたとのことで、86歳という高齢ながら、はるばる本学の筆者の研究室を訪ねてこられました。そして、かやぶき民家を守るためのこれまでの活動と現状について、熱心に語ってくださいました。村上さんのかやぶき民家に対する熱意に打たれ、今回、筆者は現地を訪問させていただきました。

 村上さんの案内で起伏のある道を行くと、集落のところどころにかやぶきの民家がありました。しかし、既に人が住まなくなっていたり、住んでいてもかやが崩れていたり、管理がしやすいように、トタン屋根がかぶされていたり...村上さんいわく「かやぶき職人が減ってしまったし、かやぶきの屋根を維持するにはお金がかかる。かやも手に入りにくい。住んでいないかやぶき民家はかせばいいのだが、なかなか進まない。毎年、数軒ずつ、かやぶきの民家がなくなっていくのはとても残念だし、世代が変わってしまうともっと減ってしまう」と。村上さんは「かやぶき民家を守る会」を立ち上げ、かやぶき職人の養成や啓もうのための祭りなどを行っていますし、協力する方々もいらっしゃるのですが、かやぶき民家の減少に歯止めがかからないそうです。

 夜、かやぶき民家で囲炉裏を囲んで、地元の料理と地酒をごちそうになりながら、地元の方々と懇親をしました。じんわり温かい囲炉裏の火を眺めながら、おいしいものを食べて、地元の方々と楽しく過ごす体験をたくさんの人たちに味わってもらえたらいいなあ、と感じました。

 アイデアをおみやげに、初夏にまた伺いたいと思います。

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