研究調査のための出張

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研究調査のために、出張で京都に行ってきました。調査をした場所は、京都市左京区にある京都府立京都学・歴彩館内の京都資料総合閲覧室というところです。私の研究テーマの一つは、地場産業の歴史の検討ですが、今回は明治期に創設された京都市立陶磁器試験場に関する資料を閲覧しました。京都は粟田焼や清水焼といった伝統的な陶磁器の産地です。

閲覧したのは、古い貴重な資料なので、保存状態を考えるとコピーはできませんし、資料の写真撮影は禁止されているので、重要な箇所を鉛筆で書き写すという、やや手間のかかる作業をしてきました。もっとも、書き写すということは、丁寧に資料を読み込むことにもなるので、よい勉強になります。古い字体に苦戦しながら、資料を読み込みつつ、どのように論文としてまとめるのか、いろいろと考えをめぐらしています。

私の研究は、今まで主に名古屋・瀬戸地方の輸出陶磁器業の歴史を対象としてきました。この地域の陶磁器業者は、西欧の技術を導入・模倣しながら、品質と価格面で西欧に負けない製品を生産しました。言ってみれば、西欧を追いつくべきモデルとして学びながら、西欧以上に西欧風の製品を生産・販売することに成功したわけです。一方、京都では、同様に西欧の技術の導入・模倣の試みは行われますが、途中から、日本や東洋風の製品の再評価の動きも現れてきたようです。この辺に、革新の中にも伝統を重んじる京都という土地柄の特性を見ることができるのかもしれません。京都での資料調査を、もう少し続けたいと思います。

さて、早いもので、今年も残すところあと一月程度となりました。このブログを読んでいただいている皆様も、これから師走で忙しい毎日を送られることかと思います。どうかお体に気をつけて、お過ごしください。少し気が早いかもしれませんが、今年もたいへんお世話になりました。来年も、なにとぞよろしくお願いいたします。

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京都府立京都学・歴彩館