発表( ←戻る 目次 次→

要約:

帰京した中納言は、まず父の左大臣のもとを訪ねた。左大臣は大変心配をしており、帰ってきた中納言を見てホッとし、改めて中納言のすばらしさを思う。左大臣は右大臣邸に行くように勧めるが、朝夕顔を自分にも見せてほしいと言う。

右大臣は中納言の訪れが長い間途絶えているのを心配し、四の君は深く思い込んで悩んでいるが、その隙を見て宰相がやって来て、四の君は「これこそ本当の愛情である」と感じる。

やっとの中納言の訪れに右大臣ははりきって支度をするが、四の君はきまりが悪く、中納言の言葉に返事をすることもできない。夜になっても昔のように打ち解けられず中納言は「どうせこの世はかりそめのものだから、つらいこともつらく思わない」と思うのであった。

四の君の出産を大変喜ぶ右大臣。中納言は生まれてきた子供を見て、相手は宰相であったと思う。中納言は四の君に対して「他人の血を引いた子を傍において可愛がらなければならないのでしょうか」と言う。四の君は涙を流し思い悩む。

七日の祝いの席を病気で欠席し宰相は左衛門に頼み四の君とあった。四の君は「悪い時に」とは思うが拒みはしない。外では中納言が歌を歌っているのを宰相は「これほどの人をお世話しながらなぜ馴染まなかったのだろう。他に何を気に病んでいたのか」と考える。衣装を換えに四の君の部屋に来た中納言は帳台の中に妙な気配を感じる。そして、男の扇を見つけて改めて四の君の相手が宰相だと知る。しかし、宰相を咎めるよりも、中納言は四の君を非難する。

宰相は四の君との辛い恋を慰めるために督の君(尚侍)に会いに行くが「手紙をください。また会う機会はあります」となだめられてなにもせずに帰って行く。

その後、督の君からの手紙はなくなり、同じ顔の中納言を見ても涙が出てくる。四の君とは人目が気になり、督の君には会うこともできず宰相はとても辛い心情である。

宰相は中納言に会って心を慰めようとする。中納言はくつろいだ姿でおり、その姿に心奪われた宰相は中納言に寄り臥す。宰相は自分の恋の辛さを訴え、それに対して中納言は「あなたの恋心は一つではないようですね」と皮肉を言って起き上がろうとするが、逃れられず、どうすることも出来ずに涙を流す。宰相は驚きながらも四の君と督の君への恋が合わさったようになり、「これほどの女性はいなかった」と感じる。中納言は恥ずかしさのあまり涙が止まらない。

夜が明けてなかなか帰らない宰相に対して「男である自分には気楽に会える」と言って帰らせようとする。宰相は中納言を一時も離したくないと思いつつ出て行く。中納言はこの世から消えてたいと思うが両親のことを考えるとそうもいかないと悩む。

宰相から「死ぬほどに会いたい」と後朝の歌が来る。中納言は女であるからと返事をするが「会う人ごとに死ぬ死ぬ言っているが長生きですね」とかえす。右大臣邸にいるのに「会いたい」と言ってくる宰相に対して露見を恐れ「私も苦しんでいる」と返事をする。宰相は右大臣邸までやっと来て中納言に会おうとするが、中納言はもう二度とあんなことになるまいと病気と言って会うのを断る。宰相は四の君もいる縁のある場所を去りがたく思うが人目をはばかって帰って行く。

問題提起(ダイジェスト)

T四の君の出産とそれぞれの思い
U宰相と尚侍の場面の役割
V中納言の女への芽生え
W中納言と宰相の関係

発表者:指田  結子

←戻る 目次 次→