発表(2) ←戻る 目次 次→

要約:

四の君の密通・妊娠と中納言の苦悩

一向に尚侍に思いが届かず悩む宰相は、中納言と語り合うことで心を慰めようとするが、あいにく中納言は宿直のため不在であった。以前、四の君に恋心を抱いていた宰相は垣間見をして、あまりの美しさにたまらなくなって侵入する。侍女たちは中納言と思い込んで驚きもしない。一方で乳母子の左衛門は事情を知り、せめて他人に知られぬようにと侍女たちを退出させてしまう。四の君は、昨夜のあまりの出来事に起き上がることもできない。侍女たちは病気だと思い心配し、中納言はやさしく声をかける。

宰相からの手紙は届く一方で、四の君には中納言が付き添っているので見せることができない。宰相は、中納言が四の君にたくさんの愛情を注いでいると思っていたのだが、二人はまだ夫婦の仲になっていないことに気づく。

四の君の病状に変化がなさそうだとみて、中納言は左大臣邸や内裏などを回ろうと思う。四の君は自分のつらい宿縁のために中納言とも距離ができてしまったことを悲しんでいる。中納言は尚侍の所や気分のすぐれない宰相を見舞う。中納言は宰相の悩みを恋の悩みと言い当ててしまったので、宰相は苦笑いをする。宰相は足早に退出する中納言を見るにつけ、改めてすばらしさを実感し、自分と比べてみてはとあわれに思うのであった。中納言の宿直の時を見計らって、宰相は四の君のもとに通う。四の君は人知れず宰相に思いを抱くようになってしまった。

そんな折、四の君の妊娠が発覚する。中納言は自分としては心当たりがないので「相手は誰だろう」と怪しがる。二人の間には溝ができてしまったようで、以前のように仲むつまじくすることもない。ただただ、中納言は勤行に励み四の君から離れがちなのを右大臣や北の方、侍女たちも不思議に思っていた。

中納言は宰相がひどく思い詰めている様子なので「もしかしたら、四の君の相手はこの人ではないか」と思い始める。しかし、はっきりしたことはわからないので、心は乱れて憂さつらさがつのるばかりである。

問題提起(ダイジェスト)

T垣間見という場面
U乳母子の存在(左衛門)
V四の君の男性像の推移
W四の君の妊娠について

発表者:恩田  香織

←戻る 目次 次→