新しい年を迎えました。皆さま方は、どのようなお正月を過ごされたでしょうか。お雑煮を食べ、こたつに入って配達された年賀状を読み、子供たちにお年玉をあげて...などというのが伝統的なお正月の風景のひとコマかと思います。もっとも、最近はSNSの普及や郵便料金の値上げなどを理由に、年賀状の送付を取りやめる「年賀状じまい」が広がっているようです。また、キャッシュレス化も進展していることから、お年玉をお年玉袋に入れて渡すなどという慣行も廃れていくのかもしれません。
実際、私は昨年、フランスと中国に出張で行く機会がありましたが、両国ともに思っている以上にキャッシュレス化が進んでいることに驚きました。世界は間違いなく、日々刻々と変化していて、うっかりしていると私のような高齢者は、世の中の流れから取り残されてしまうのではないかと、危機感すら覚えました。
当然、私たち大学をめぐる環境も、急速に変化しています。例えば、コロナ禍の中で本格的に導入されたオンラインの活用などは、その例です。また、最近では、ChatGPTのような生成AIの普及が教育に与える影響についての議論も盛んに行われています。たしかに、生成AIの有効な利用は、教育・指導の効率性を高め、教育内容の質の向上をもたらす可能性が十分にあります。大学における教育も、こうした新技術の導入・普及にともなう変化に対応し、時代を先取りする内容に進化させていく必要があるのでしょう。
しかし、機械がさまざまな問いに対して、いかに優れた答えを与えてくれるにせよ、何を知りたいのか、なぜ学ぶのかなど、最初の問いを発するのは人間です。また、機械によって与えられた解答に責任をもって対応しなければならないのも人間です。人としての創造力や判断力を培い、高度の専門性を獲得するための基礎的な学力を身につけることは、いつの時代にも変わることのない大学教育の課題です。
本学は、引き続き建学の精神である「愛情教育」の実践を念頭において、ひとりひとりの学生と真摯に向き合いながら、教育の質の向上に努めてまいります。引き続き、本学の教育にご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
最後になりましたが、本年における皆さま方のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げて、新年のご挨拶とさせていただきます。