論語と算盤

 渋沢栄一という人物を知っていますか。幕末に埼玉県深谷市に生まれた戦前の日本を代表するビジネスマンです。

 最近のニュースでは、2024年に発行される新紙幣の1万円札の顔になる人物として取り上げられました。銀行制度や株式会社制度を導入するなど、近代日本の経済発展の基礎を構築することに功績があり、日本資本主義の父ともいわれています。その渋沢の著書である『論語と算盤』を久しぶりに読んでみました。

 100年以上前に出版されたこの著書では、営利を求めるビジネス活動(算盤)が、高い倫理感や道徳意識(論語)によって支えられる必要のあることが説かれています。それに加えて今回読んでみて、渋沢がビジネスの発展に向けて、「自由」の重要性について言及しているところがあることに気がつきました。その箇所を引用してみます。

 「実業界に立つ者は......なお一つ尊ばなければならぬ一大事が残って居る、それは自由ということで、実業の方では、軍事上の事務のように、一々上官の命令をまっているようでは、とかく好機を逸し易いので、何事も命令を受けてやると云う具合では、ちょっと発達ということは難しいのである」

 他人からの指示を待つだけでは、貴重なビジネス・チャンスをみすみす見逃してしまうというのでしょう。こうした指摘は、例えば駿大社会人基礎力がいう「行動に移す力」(目標に向かって行動を起こすことの価値を理解した上で、自ら行動を起こし、必要に応じて課題に柔軟に対応しながら、やりきることができます。)にも通ずるところがあるのかもしれません。波乱に満ちた渋沢の生涯を知るためには、東京都北区の渋沢史料館や埼玉県深谷市の渋沢栄一記念館の展示を見学するのもおすすめです。時間があったら訪ねてみたらいかがでしょうか。