MENU
アクセス
  1. トップ
  2. 学部・研究科レポート
  3. 大河ドラマ「真田丸」ワンポイント解説(14)

学部・研究科レポート

2016.05.02

大河ドラマ「真田丸」ワンポイント解説(14)

法学部教授 黒田基樹

 5月1日(日)に放送された第17回では、天正14年(1586)10月における徳川家康の羽柴(豊臣)秀吉への上洛・出仕が話の中心になっていました。

 その前段階で、家康が真田討伐を秀吉から許可を得ていたところ、すぐに撤回されるという内容がありましたが、これは史実なんですね。すでに家康は2月に秀吉への服属を表明、その後は何時上洛・出仕を実現するかが政治的焦点になっていました。そのなかで秀吉は、上洛命令を無視した真田昌幸の討伐を家康に命じます。おそらくは家康からの要求をうけてのことでしょう。秀吉から許可を得た家康は、7月17日に家臣に出陣を命令、8月6日付で秀吉も家康に正式に真田討伐を命令します。ところが翌7日、秀吉は一転して真田討伐の中止を命じます。その背景には、上杉景勝の働きかけがあったようです。

 真田昌幸をめぐる動きは、実際のところも、まさにドラマのような展開をみせていたんですね。このあと昌幸はついに秀吉のもとに上洛・出仕することになるわけですが、そこでも驚きの展開になります。それは次回をお待ちください。

 今回のことでもう一つ取り上げたいのは、秀吉が「豊臣の秀吉」と名乗っていたことです。一般的には、秀吉は「羽柴」から「豊臣」に変えたと思われていますが、これは間違いです。「羽柴」は苗字、「豊臣」は「氏」です。秀吉の「氏」は、はじめ「平」で、関白になった時に「藤原」になり、その後に「豊臣」に変えますが、苗字は「羽柴」のままです。「豊臣」は「氏」なので、名乗るときには実名(いわゆる名)との間に「の」を入れます。これは「平の清盛」「源の頼朝」などと同じ事です。

 しかし学校教科書レベルでは(さらには学術書でも)「とよとみひでよし」となっているので、一般的にそう認識されてしまっているのです。今回のドラマでは、セリフでは正しく「の」を入れるようにしています。しかしナレーションでは、教科書基準ということで「の」は入りません。早く教科書レベルで改まるようになってもらいたいですね。


関連リンク

学部レポート

    PAGE TOP