経済学部

11.07.07

オープンキャンパス模擬講義の風景(第2回)

2011年度第2回(6月18日)「日本の経済格差」

経済学部教授 池野 秀弘

2011070701ikenomogi.png

〈模擬授業の内容〉
 いま日本経済は東日本大震災の影響やそれ以前からの景気後退の影響を受け、とても順調とはいえない状況です。しかし、かつて日本経済は世界に類を見ない勢いで伸びた高度成長期と呼ばれる時代がありました。この「日本経済」とはなんでしょうか。日本の国内には、経済が順調に進んでいる地域がないわけではありません。その一方で、かつて例を見ないほど経済的に深刻な地域もあります。それは、震災の影響ばかりが原因ではありません。順調な地域だけをみても、所得の高い人ばかりではありません。そのような地域にも経済的に困窮している人はいます。日本には、他の国と同様に、地域による格差があります。また、個人による格差もあります。日本人といっても、経済的には、さまざまです。日本の経済は、異なるさまざまな地域にとって、個人にとって同じような道をたどっているわけではありません。

 このような格差の存在は社会的に構わないのでしょうか、あるいは、是正してゆくべきでしょうか。政府は格差社会の解消に積極的に取り組むべきでしょうか、あるいは放置しておいてよいのでしょうか。この問題に関して、社会にはさまざまな考え方があります。

 格差に対するものは平等です。社会は平等であるべきでしょうか。伝統的に、平等の概念は「機会の平等」と「結果の平等」の二つに分けられます。誰もがチャンスが同じようにあるべきだというのは前者です。そして、それを追及した社会の一つはアメリカです。しかし、アメリカは後者の結果の平等はあまり重視されない社会です。「アメリカン・ドリーム」という言葉がありますが、それは出自などに関係なく才能と努力によって成功を収めるといものです。そのような成功した人たちが巨万の富を得ることは当然のことで、それこそが社会が発展する原動力だと考えます。

 しかし、「機会の平等」と「結果の平等」は本当に別のものでしょうか。一方だけを徹底的に重視し、他方は無視することなど可能でしょうか。巨万の富を得た人の子供とそうでない人の子供に機会の平等はあるのでしょうか。

 この模擬授業では、上に述べたような問題について、あまり明確に答えは出しませんでしたが、受講者とともに考えていくようにしました。

〈受験生へのメッセージ〉

2011070702ikenomogi.png

 大学の経済学部では、皆さんが想像しているよりもはるかにさまざまなことを学べます。お金の儲け方だけを学ぶわけではありません。社会のあるべき姿を考え、現実とその姿はどのように異なるのか、そして、私たちはどのようにすべきかを考えることは、重要な課題です。日本の社会について学び、日本の社会に対して私たちはどうすべきか、あるいは、どうすべきでないのかを考えましょう。

ページの先頭へ