法学部

11.08.26

9月3日(土)オープンキャンパス模擬授業担当の上河内千香子准教授コラム

今回は、9月3日(土)に開催されるオープンキャンパスで模擬授業を担当する上河内千香子准教授が執筆したコラムを、『講義の一風景』バックナンバー(vol.16)より紹介します。

「大規模震災とマンション法」


法学部准教授 上河内千香子

・はじめに

 今日は、民法が関係する社会問題として、「大規模震災とマンション法」についてお話しましょう。1995年の1月、阪神淡路大震災により多くの建物が倒 壊しました。では、このような大地震によりマンションが倒壊した場合、日本の法律はどのような対処を考えているのでしょうか。

・「建物の区分所有等に関する法律」

 わが国では、マンションの住人同士の権利義務関係を定める法律として、「建物の区分所有等に関する法律(通称:建物区分所有法)」が存在します。この法 律の中に、大地震などの災害でマンションが破壊された場合のルールが定められています。それによると、まず、建物の破壊の程度が、建物価格の二分の一以下 の小規模なものか、それとも二分の一以上の大規模なものかで分けて考えることになっています。

・小規模滅失

 建物の破壊の程度が小規模なものである場合、滅失したマンションの廊下などの共用部分は、一部のマンションの住人が修理してその費用を他の住人に請求し、あるいは、マンションの住人が参加する集会により復旧させることを決めることができることとなっています。

・大規模滅失

 他方、建物の破壊の程度が大規模なものであった場合、マンションの住人が参加する集会において、住人の人数とその議決権の四分の三以上の賛成により、滅 失した部分を復旧させることを決議することができます。大規模な破壊の場合、元通りに復旧させるには費用がかさむため、復旧を決議するには、小規模滅失の 場合と比べると厳しい要件が科されているということです。

・全部滅失の場合は?

 では、大規模滅失どころか、マンションが完全に滅失してしまった場合は、どうなるのでしょうか。この場合、マンションの住人が共有する敷地だけが残るわ けですが、この場合、マンションの住人は、共有の敷地を分割することを請求できます。しかし、安易に敷地の分割請求が認められてしまうと、マンションを再建して再び住むことを考えている人にとっては困ることになります。このため、「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(通称:再建特別措置法)」 は、政令で定められた大規模な災害の場合には、災害から3年以内はこのような敷地の分割請求ができず、この期間内にマンションの住人がマンションの再建を 決議することが可能、ということにしています。この法律は、阪神淡路大震災を契機として1995年に施行されました。

・ドイツのマンション法の取扱い

 一方、日本の区分所有法が1962年に立法されるときに模範としたドイツのマンション法(「住居所有権法」といいます)においても、災害によりマンショ ンが破壊された場合の規定が存在します。しかし、ここでは大地震のような自然災害はあまり考えられておらず、火災や飛行機の墜落などでマンションが破壊された場合を想定しています。

・おわりに

 マンションでは、一つの建物に多くの住人が権利を持ちながら、そして、お互いに譲り合い、我慢をしながら暮らしています。このようなマンションで生じた紛争について法的に正しい解決を導くためには、所有権などの民法の知識が不可欠なわけです。

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 9月3日(土)に行われるオープンキャンパスで、上河内准教授の講義を体験してみませんか。興味のある方は是非ともご参加ください!

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