10.07.05
2009年3月,ゼミの学生の大連市内でのフィールドワークにつきあいがてら,大連を起点に中国東北部を周遊してきました。大連から長春~ハルピン~瀋陽~丹東~大連と,移動は主に夜行寝台列車を使い,宿泊費と移動の時間的ロスを図っての旅行でした。今回もっとも楽しみにしていたのが中国と北朝鮮の国境線の街・丹東です。
丹東には二つの大きな観光資源があります。一つは,万里の長城の東端である「虎山長城」,もう一つは秘密のベールに包まれた国,北朝鮮との出入り口のひとつであることです。
この写真は「中朝友誼橋」といい,鴨緑江をまたぎ,中国-北朝鮮を結ぶ鉄道橋です。僕が訪問したその日もちょうど,北朝鮮からの貨物列車が1編成渡ってきていました。2010年5月初めに,北朝鮮の金成日総書記が特別列車で訪中したという報道がありましたが,北の将軍様は,特別列車に乗ってこの橋を渡って中国までやってきたのです。
実は,この橋のすぐ脇にもう一本橋が架かっています。もう一本の橋は,鴨緑江の途中で写真のように切断されています。これは,朝鮮戦争中の1950年11月にアメリカ軍の爆撃によって橋が破壊されたものをそのまま残しているものです。
橋のたもとでは,写真のように露店を開いて北朝鮮の紙幣・硬貨,メダル,切手,たばこなどを観光客相手に売っている人たちがたくましく生きていました。街中を歩いていても,多くのハングルを目にしました。
丹東駅からバスに乗ること30分で,「虎山長城」の入り口にたどり着きます。「虎山長城」の紹介は他に譲るとして,その近くの農家で面白い光景を見つけました。次の写真を見て,何か気がつくでしょうか?屋根の上に注目してみて下さい。衛星放送を受信するためのパラボナアンテナが2つ,付いています。アンテナは朝鮮半島の側を向いているのですが,おそらく,韓国の衛星放送を受信しているのではないか?と考えると,情報統制の厳しい中国において,「外の世界」の情報を渇望するしたたかな人民の姿が浮かび上がってきます。

このあたりは,北朝鮮まで数mに迫れる「一歩跨」と呼ばれるスポットがありますが,夏場には鴨緑江にボートを浮かべ,北朝鮮国境線のあたりまでクルージングするアクティビティが実施されています。冬場は鴨緑江が凍結しますのでクルージング自体は休業していますが,川沿いに張られた鉄条網や,乗客への注意書きに,国境線の緊張感が漂っています。
しばらく歩くと,鉄条網が人為的に破られている所があり,凍った川へと降りられるところがありました。遠くには警備兵の詰め所らしき建物があり,軍人と覚しき姿もちらほらと...
噂には聞いていましたが,「脱北者」と呼ばれる,北朝鮮の現体制から中国へと逃げ出す人達は,このようなところを夜陰に紛れて逃げ出してくるのか?と思わずにいられません。
折角なので,氷の厚さを確かめつつ,向こう岸まで渡ってみましょう。氷は,0.1tの体重を支える十分な厚みがあります。遂に北朝鮮に密入国!?
下の図はGPSの受信ユニットで記録された当日の移動記録(ログ)です。結論から言えば,捕まることなく帰って来られたわけは,国境線を越えていなかったからですが,後ほんの少しの距離で北朝鮮というところに迫っていたことが分かります。

もともと戦争の道具として開発されたGPSですが,今日ではカーナビや携帯電話など,我々の生活の中に自然に入り込んできています。旅行のお供にいかがでしょうか?
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