現代文化学部

10.05.06

【現代文化学部】路地裏散策の勧め~どうなる上海?~(天野宏司准教授)

 いよいよ、上海万博が始まります。2008年の北京オリンピック・2010年の上海万博と、立続けに国際的な催し物を主催する今の中国は、1964年に東京オリンピック・1970年に大阪万博を開催し、高度経済成長を遂げた、かつての日本にダブって見えてきます。
 上海では、万博の開催に向けこの数年急ピッチで街を作り替えてきました。

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 2002年には、上海浦東国際空港と市街部を結ぶ上海マグレブ(リニアモーターカー)が開業し、
時速430kmの最高速度を誇っています。 上海訪問をしたら是非乗ってみましょう。お勧めはもちろん先頭車両です。
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 運が良ければ、フロントガラスが割れたリニアに乗ることができます。日本人の感覚では「大丈夫か?」と心配になりますが、郷に入りては郷に従え。「無問題」この程度のことを気にしていると、中国旅行を満喫することはできません。

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 街を歩けば、至る所で再開発が進み、租界時代のモダンなビルと近代的なビルが一緒に立ち並ぶ街へと変貌しつつあります。

 再開発工事のなかには、ホスピタリティ的にどうなのか?と首をかしげたくなるものも多く含まれています。この写真は地下鉄新駅の設置工事現場ですが、視覚障害者用の誘導タイルは段差と瓦礫に埋もれて用をなさない状態でした。

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 近代的に整備された上海の街は、それはそれで楽しいのですが、時間に余裕があったら旧市街の路地裏へ足を運んでみてください。

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 このような路地が至るところにあり、そこで生活する人たちの息づかいが聞こえて来ます。上の写真で是非注目して欲しい点が2つあります。一つはすだれのように干された洗濯物。上海政府は,「非文明的行為」としてこれを禁止しましたが、どうなることやら...。万博期間中に上海を訪れる機会があれば、気にしてみてください。
 もう一つは矢印の指す物体についてです。これを拡大してみると小ぶりの桶であることがわかります。この物体の正体がわかりますか?これこそが、かの有名な「馬桶(マートン)」。簡易便器です。庶民の家庭では屋内にトイレ・浴場を持たないことが普通です。で、あるが故に、俗に「ニーハオトイレ」といわれる仕切りのない公衆トイレが社交の場として機能をしてきました。しかし、夜は防犯上の理由から屋外のトイレには行かず、馬桶で用を足します。下の写真は、朝玄関先に置かれた馬桶を洗う仕事を生業としている人の仕事道具一式と、その依頼品だったわけです。上の写真では、洗い終わった馬桶が逆さに干されていました。

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 人口の多く集まる上海では、十分な居住空間を確保できる家庭は少なく、ある床屋をのぞくと店舗スペースにテーブルを広げ夕飯を取り、ソファーで寝る生活をしている様子がうかがえました。

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 このような、自前の店舗を持ち、住む家がある人はまだ恵まれています。好景気につられ、中国全土から民工と呼ばれる農村出身者が流入しています。彼らの給料を街に張られた求人票から知ることができました。
 ある食堂の入り口に貼られた求人票によると、この店では、住込み・食事付きで、フロア員が月1500元(約22,000円)、厨房員で2000元(約30,000円)とのことでした。直接日本の給料と比べることはできませんが、こんな人たちに支えられながら、今日の上海の発展があることが伺えます。

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 洗濯物を干すことは禁止されましたが、家の軒先には豚・鳥・魚...様々な食材が干されています。よく見ると近代的なビルを遠景に、画面左手には公衆浴場の看板が干し肉のカーテンに隠れていました。
 上海万博に行く機会がありましたら、是非、路地裏散策を楽しんでみてください。

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