2月12日(金)に、学生企画活動の一環として、ダストレスチョークメーカーの日本理化学工業株式会社への見学を実施しましたので報告致します。
今回、この企画を提案した理由は、ボランティア活動を通して何度も障がい者施設に足を運ぶうちに一つの疑問が生じたのがきっかけでした。その疑問というのは、何らかの障がいを持っていようとも、自分達健常者と変わりなく話ができたり、文字が書けたりする人が多いのに、報酬が格段に少ない福祉的就労を余儀なくされていることでした。この疑問を解明し、今後自分達が少しでもボランティア活動を通じてお手伝いをできないかと考え、障がい者雇用率7割を超える日本理化学工業株式会社に見学をさせていただくことになりました。見学を行ったのは、学生7名と教職員2名の合計9名です。
ここで簡単に日本理化学工業株式会社の紹介をさせていただきます。日本理化学工業株式会社は、昭和48年の重度障害者多数雇用融資制度により作られたモデル工場1号です。全従業員73人のうち、知的障がい者が53人で、「粉のでにくいダストレスチョーク」を作り、国内では30%を占める日本一のチョークメーカーです。知的障がい者を雇用し続けて50年になります。

障がい者を雇用した経緯は、近所の養護施設の先生からの「例え、採用が無理でも1週間でいいので、施設の子に、働く喜びや、役立つ幸せを感じさせたい」という要望たったそうです。そして、障がいを持つ2人の少女のたった1週間の就業体験が始まったのです。
雨が降る日も、風が強い日も、彼女たちは、8時スタートなのに朝7時には、玄関まで来ていたそうです。彼女たちは、朝10時の休み、お昼休み、3時の休みも仕事に没頭して、一切手を休めようとしなかったそうです。
そんな姿を間近で見ていた社員たちが、社長を動かしました。「私たちは、彼女たちと一緒に働きたい。明日で就業体験が終わってしまいます。正規の社員として採用してください。彼女たちの足りない面は、私たちがカバーします」、そんな社員たちに背中を押され、障がい者の雇用が始まったそうです。
会社に伺った時も、商工会議所の方や福祉施設の方が見学に来ており、同社の注目の高さを感じました。最初に、会長から会社概要等のお話を聞きし、その後工場見学をしました。工場内では、原料が徐々にチョークの形になっていく様子を具体的に説明いただきました。印象的であったのが、工場内で働く障がい者の方たちの働きぶりが想像していたものよりも機敏で円滑であったことでした。社員一人ひとりにしっかりとした役割があり、仕事に対する真剣な様子は見習うべきものでした。


工場見学を通じて、生の現場を体感し、多くのことを学ばせていただきました。そこで一番大切だと感じたことは、「人を工程に合わせるのではなく、工程を人に合わせる」ということです。これが現状に足りないことであると強く感じました。今後、障がい者施設に行った時は、ただ『ボランティア』としてではなく、今回学んだことを一般雇用の促進に向けて、少しでも社会が動いていくようにしていきたいです。本当にありがとうございました。
