法学部

10.02.10

【法学部】リレー連載(Vol.9)「「本の王国」とブックタウン運動」(熊田俊郎教授)

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 法学部専任教員によるリレー連載、第9弾は熊田俊郎教授です。


「本の王国」とブックタウン運動

駿河台大学法学部 熊田俊郎

 「イギリスの山の中に古本屋ばかり集まった変な町がある。行ってみないか?」と、学会の先輩から誘われたのが始まりだった。2004年夏、英国ウェールズの山の中にあるヘイ・オン・ワイという人口1800人くらいの小さな田舎町を訪ねた。鉄道もなくバスも地方都市からしか出ていない辺鄙な町で、レンタカーを借りロンドンから4時間ほどかけてたどり着いた。行ってみてびっくり。古本屋が37軒、アンティークショップが12軒、町の駐車場は満杯で観光客がいっぱい。毎年5月には話題の本の著者を呼んだブックフェスティバルが開かれアメリカ元大統領やハリウッドスターも参加する。こうして年間100万人もの人が訪れるという。ここは甘い物好きにとっての「お菓子の家」のようなもので、本好きには夢のような町である。探偵小説ばかりの店、絵本ばかりの店、古地図ばかり売っている店もある。すっかり夢中になって、それから3年間この町に通いつめた。
 
 仲間となぜこんな町が可能なのか研究することにした。この町はリチャード・ブースという人物が作った町で、「王国」として独立宣言までしている。3年目にやっとブース氏に会うことができた。初対面でいきなりパーティーに誘われ、古本屋の経営者やこの町に移住してきた多くの人たちと知り合った。このヘイ・オン・ワイの成功に触発され、ヨーロッパで過疎に悩む町が古本を核に町おこしをするブックタウン運動が起こっている。現在25ほどの町が名乗りを上げているが、成功しているもの、そうとはいえないものがある。日本では長野県の高遠町(現在伊那市)をヘイ・オン・ワイのようにしたいと考えた人がいて、2009年8月「第1回高遠ブックフェスティバル」が開かれ、私も参加した。この研究は『神田神保町とヘイ・オン・ワイ』(東信堂)という本にまとめられている。

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 私たち研究仲間は、それぞれの大学のゼミでブックタウン運動を取り上げている。私もゼミで取り上げたことがある。また私が担当している「地域政策」という科目でも地方の町の活性化は重要なテーマである。ほかの大学のゼミと協力しながら、ヨーロッパや日本のブックタウン運動を研究したり支援したりできたら面白いだろうと思っている。
 

以 上

 第1回 「子ども虐待の防止――私たちにできること」(吉田恒雄教授)  
 第2回 「私の憲法研究」(「北原仁教授)  
 第3回 「経済に関する法の直面している問題」(大録英一教授)  
 第4回 「証明責任・証明妨害 ― 神判に起源?」(太田幸夫教授)
 第5回 「鳩山新政権と政治学」(西川敏之教授)
 第6回 「刑事政策について」(米山哲夫教授)
 第7回 「時効とは?」(竹内俊雄教授)
 第8回 「「フレセキュリティ」(flexicurity)と「フレシキュオリティ」(flexsecquality)」(石田信平講師)

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