10.04.01
「講義の一風景」(Vol.6)‐辻 雄一郎講師(ゼミナール)‐
--先生の専門分野は何ですか?
憲法です。
--憲法を大学で勉強する意味は何ですか?
日本国憲法施行より60年経ちましたが、たとえば「表現の自由」をめぐる議論は広く普及し、展開してきましたが、この自由は、いまだにたくさんの問題を抱えています。これらの問題はいまだに解決されていないばかりでなく、問題自身が「表現の自由」に関わることが多くの人たちに十分に認識されていないようです。
--どういった問題が表現の自由に関わるのでしょうか?
インターネット上で「あの○○銀行はつぶれそうだ」という投稿
犯罪被害者と加害者に関する過剰な取材と報道
ウナギといった生鮮食品の産地偽装に関する報道
美容整形手術やダイエットの効能を過剰に評価するテレビ番組 でしょうね。
--ゼミナール(演習)はどのような授業ですか?
人は、様々な主張と表現手段(テレビ、新聞、インターネット)を持っています。どういった表現は許され、どういった表現は許されないと法律は考えるのでしょうか?
「法的に許されない」とはどういう意味でしょうか?損害賠償、記事の一時差止、刑事責任のうち、どれがふさわしい救済でしょうか?
ゼミナールでは裁判所の判決(芸能人のゴシップ記事に関する訴訟など)を毎回取り上げ、これらの議論を展開していきます。2010年は統治に関わる議論が中心です。
下記は小野陽子さん(法学部1年・おのようこ)の課外活動の紹介です。
ハンセン病資料館は、清瀬駅からバスで10分程の距離にある。この地に、一世紀近くにわたる国の隔離政策により、辛く苦しい差別と闘ってきたハンセン病の人々にとっての、悲しい歴史がある事を感じさせない。ハンセン病訴訟について詳しく知ったのは、辻先生のゼミで「立法の不作為」の課題として学んでからである。多数原理の中において、切り捨てられ、踏みにじられてきた人々の声が裁判所に届いた画期的な判決の意味は、司法を学ぶ上で重要なことだと考える。
玄関左手の受付で資料を受け取り、2階の資料展示室へ向かう。明るい照明とわかり易い説明の展示は、内容の重さを少しでも軽くする工夫のように感じた。しかし、左手の療養所の展示へと移動した瞬間、胸が苦しくなった。実物大の部屋や人形、モニターに映し出される入所者の淡々と静かな語り口の証言は重く、悲しい。それでも「生きぬいた証」の展示では、人としての尊厳を踏みにじられた人々が過酷な生活の中でも人権を訴えて闘い、楽しみや希望を見出しながら生きる姿があった。どんなに絶望し、泣いたことだろう。それなのに人々の表情は穏やかでやわらかく、素敵だった。月並みだが、多くの人に知って欲しいと思う。私も、もっと学んでから再度、訪れたい。今日見えなかったものが見えるのではないだろうか。