10.04.30
法学部専任教員によるリレー連載、第12弾は堀田周吾准教授です。
昨年5月から裁判員制度が始まりました。6人の一般国民が3人の裁判官と一緒に刑事裁判を行います。なぜこの制度が作られたのでしょうか?
憲法は国民主権の原理を掲げています。国家権力は国民の意思に基づき行使されるという考え方です。そのため、国会議員は国民の選挙で選ばれますし、内閣は主にその国会議員で組織されます。いずれも、国民の意思を反映するための仕組みです。
では、裁判所はどうでしょうか。現行の制度では、総選挙のときに最高裁の裁判官の国民審査が行われる以外は、国民の意思が反映される場面はありません。でも、主権者は国民ですから、裁判にも国民の意思が反映されることが本来は望ましいのです。
裁判員が加わることで刑事裁判は良くなるのか?それはまだ誰にもわかりません。それでも、裁判に国民が直接参加するというプロセスを作ることこそが重要なのです。
「裁判員制度は一般国民にどんなメリットがあるのか?」と訊かれることがあります。たしかに私たちが直接の恩恵を受けることはないかもしれません。ただ、一つの裁判が社会に大きな影響を及ぼすこともあります。社会を動かしているのは一部の人たちなのではなく私たち国民なのだということを実感できる機会が増えることは、決してマイナスではないのです。
自分には縁のない話だと思っている方が多いかもしれません。しかし、いつ急に裁判員に選ばれないとも限らないのです。裁判員制度の開始により、司法と私たち一般国民との距離は今後縮まっていきます。平穏な日常生活を送る人たちにとっても、刑事裁判が別世界の出来事ではなくなりました。
裁判員になる可能性のある皆さんが今できることが1つあります。それは、日々行われている刑事裁判や、それを取りまく様々な問題(最近では犯罪被害者による手続参加や、刑事弁護のあり方など)に目を向け、これまでより少しだけでも関心を持つ、ということです。明日からでも実践できるはずです。
国民の司法参加を「義務」と考える向きもありますが、他方でそれは私たち国民に与えられた新しい「権利」です。選挙権を与えられた国民が政治に対して無関心であってはならないのと同様に、裁判に参加する機会と権利を与えられた国民は司法に対して無関心であるべきではないのです。
《高校生の方へ》
犯罪捜査や刑事裁判のことに興味を持ってもらうために、オープンキャンパスで模擬授業を行います。ぜひ、ご参加ください。
6月12日(土)オープンキャンパス
法学部模擬授業 「刑事ドラマのウソとホント~警察と捜査に関する法律を学ぼう~」
(担当:堀田周吾准教授)
第11回 「法律は「弱者」を守れないのか?」(草地未紀講師)
第10回 「イマヌエル・カント」(福田二郎教授)
第9回 「「本の王国」とブックタウン運動」(熊田俊郎教授)
第8回 「「フレセキュリティ」(flexicurity)と「フレシキュオリティ」(flexsecquality)」(石田信平講師)
第7回 「時効とは?」(竹内俊雄教授)
第6回 「刑事政策について」(米山哲夫教授)
第5回 「鳩山新政権と政治学」(西川敏之教授)
第4回 「証明責任・証明妨害 ― 神判に起源?」(太田幸夫教授)
第3回 「経済に関する法の直面している問題」(大録英一教授)
第2回 「私の憲法研究」(「北原仁教授)
第1回 「子ども虐待の防止――私たちにできること」(吉田恒雄教授)