法学部

10.09.01

【法学部】講義の一風景(Vol.10)「経済に関する法が直面している問題」‐経済法(大録英一教授)

講義の一風景(Vol.10)「経済に関する法が直面している問題」‐経済法 大録英一教授 

 独占禁止法は、戦後の経済民主化政策の一環として、昭和24年に制定されました。独占禁止法は、企業間の公正で自由な競争を促進することにより、経済を活性化させ、国民の利益を増進する法律です。競争のプロセスは、消費者ニーズにこたえるべく、品質アップやコストダウンのための努力など企業の創意工夫を促し、事業活動を活性化させますから、企業にとっても利益をもたらしますし、そしてもちろん買い手たる一般消費者にとっても、競争の結果、良質な商品やサービスを廉価で手に入れることができるようになります。さらに、一国の経済は、個々の市場の集合体ですから、国全体の経済も活性化します。

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 けれども、独占禁止法のような競争政策だけでは、十分ではありません。わが国では、ポスト・バブル期を経て、今後徐々に社会構造が変化しつつあるように見受けられます。従来の事前調整型の業界保護の行政は終焉を迎えつつあり、今後は明確なルールが設定されたうえで、企業や個人が、個々の判断と責任に基づいて行動することが期待されます。しかしながら、明確なルールの設定が不十分のまま、規制緩和が行われ、現在、さまざまな混乱を生んでいるように思われます。たとえば、今日の食品偽装の問題は、各官庁が業界保護も合わせて行う所に根本的な問題があります。消費者保護も同様です。近年、住宅リフォーム事件、キャッチセールス、マルチ商法、多重債務など、法律や情報に疎い高齢者や若者など、弱い者いじめのだましや脅しが頻発していますが、日本の消費者保護は、先進国の消費者行政と比較して、はるかに見劣りがします。

 また、失業や格差の是正、年金制度など、セーフティネットの構築が不十分なままで規制緩和や国際化が進み、大きな社会問題を生んでいます。
 市場経済は、これらのルールや安全装置が前提であり、現在、その構築が急務であると思われます。

 9月4日(土)のオープンキャンパスでは大録教授の講義を体験してみませんか。興味のある方は是非ともご参加ください。

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