現代文化学部

10.06.10

【現代文化学部】世界学生フロアボール選手権大会に参加して - 後編 - (吉野貴順教授)

 前編はこちらをご覧ください。

現代文化学部教授 吉野貴順

 男子の参加国は、スウェーデン、フィンランド、チェコ、ノルウェー、オーストリア、そして日本の6ヶ国であった。参加することだけに意義がある訳ではないが、第1回大会から全ての大会に参加しているのは、スウェーデン、フィンランドと日本の3ヶ国のみである。我々は、「世界学生フロアボール選手権大会の歴史は、我々が作って来たんだ!」という、自負を持って大会に挑んだのであるが.........?

●準備OK ?
 ウーメオーに到着後直ちに、我々は、地元のクラブチームThorengruppenと練習試合を行うため、郊外に向かった。このチームは3部リーグに所属しているが、今回の日本チームには手強い相手であった。結果は3対7で負けたものの、体の大きな相手に対して、2ピリ目と3ピリ目は、ほぼ互角のゲームをした。選手の時差ボケも解消しつつある。チームの準備状況としてはまずまずかな?と感じられた。
 ところで、応援に来た選手のお子さんなのだろうか(写真↓)? 彼も、ピリオド間の休憩時間に、素晴しいテクニックを披露してくれた。フロアボールの本場スウェーデンならではの微笑ましい光景であった。

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テクニックは上?

●本番始まる!(大会初日)
 競技は5月13日から始まった。当初参加するはずであったロシアとデンマークが直前になってキャンセルしたため、男子の参加チームが6ヶ国となり、全チーム総当たりによる予選リーグが行われた。
 日本は初戦で、優勝候補のスウェーデンと対戦することになった。選手・スタッフとも気合いを入れて試合に臨んだが、0対33の完敗であった。全く手も脚も出ず、あっさりと最も得点差の大きい敗戦という日本記録を更新してまった。しかし、第1ピリオド(20分)終了時点で0対17であったことを思うと、選手たちは2ピリと3ピリはよく頑張ったということか?

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対スウェーデン戦の様子。写真中央は文情4年の菱沼君(3番)と経済3年の外澤君

 同日夜には、ノルウェーと対戦し、選手も意地を見せ頑張ったものの、体の大きさに敵わず1対17で負けてしまった。
 本日行った2試合での失点合計は50、監督のショックも大きかった(意気消沈)。それにしては、選手たちは案外とさばさばとしていた。彼らに、悔しさはないのであろうか?監督としては、もっともっと悔しがって欲しいと思うのだが......? 明日の奮起を期待したい!

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対ノルウェー戦の様子。手前はゴール前を守る法2年の斎藤君


●今日も厳しい!(大会2日目)
 大会2日目(14日)も、午前中にフィンランド、そして夜にチェコと対戦するという厳しい日程である。この両チームは、この学生選手権大会を、それぞれの国のA代表チームの強化試合と位置づけているようで、世界選手権大会のナショナルチーム代表選手が、半数以上を占めるようなチーム編成で今大会に臨んでいる。加えて、本来20人でチーム編成するところを、日本チームの登録メンバーは13人。常に全力で相手に向かっていく我々にとっては、この人数で、フィンランドとチェコを相手に、ダブルヘッターを戦うのは過酷である。
 フィンランド戦が始まった。相手の早いパス回しとポジション・チェンジに翻弄され失点が続く。終わってみれば0対34、また大量得点差での敗戦の記録を更新してしまった。過去3回の大会に参加した選手たちであれば、ここで悔し涙を見せたに違いない!? でも今回のチームは、非常にあっさりとしている。自分たちの力の無さを悟りきっているのか?

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対フィンランド戦。現文1年の屋崎君(12番)と法2年恩地君(8番)

 夜7時チェコとの戦いが始まった。チェコ選手も、ナショナルチームへの生き残りをかけて真剣にプレイしている。

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対チェコ戦。ゴール前を守る経済3年外澤君とGK小川君(法3年)

 スウェーデンやフィンランドが挙げた得点を意識しているのか容赦ない攻撃が続く。日本も必死に戦うが、いとも簡単にシュートが決まる。1対33、惨敗。身も心もズタズタにされるような敗戦が続く? 2日間4試合での失点117点、得点2。
 痛い!厳しい!! 
 しかし、試合が終われば、一緒に記念写真。いかにも大学選手権らしい光景である。

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終了後チェコ・チームと記念撮影。笑顔がいいね!

●予選最終戦(大会3日目)
 5月15日の午前中、オーストリアと対戦した。今までの4試合は、明らかに格上の相手。しかし、オーストリアは、唯一互角の試合を目論んでいた相手である。
 思い返せば、2002年の第1回大会では、日本がオーストリアに勝利し、これが日本フロアボール史上初めて、日本がヨーロッパの国に勝利した試合であった。そんな歴史を選手に話し、檄を飛ばして試合に臨んだはずが......。

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ゴール前での円陣で気合いを入れる

 ゴールキーパーがボールを止められない。第1ピリオドであっさり4失点。早くもゲームが決まってしまった。結局2対6で、予想外の情けない敗戦を喫してしまった。応援に駆け付けてくれた邦人の方、ありがとうございました(写真↓右奥)。

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ゴール前を守る斉藤君。そして、邦人の方の応援に感謝・感謝


 以上のように、予選リーグは、5戦全敗、得点4・失点123いう歴史的・屈辱的な結果
で終了した。これにより、予選リーグ、オーストリアの5位と日本6位が確定した。そのため、同日の夜19時から、5位--6位決定戦で、再度オーストリアと対戦し、雌雄を決することとなった。
 
●いざ決戦(順位決定戦)
 順位決定戦は、日本が常に得点を先行してゲームを運んだ。第2ピリオド終了時点で5対4とリードしていた。しかし、第3ピリオド開始5分で同点とされ、そのまま正規のゲーム時間が終了した。ゲームは、サドン・デスでの10分間の延長戦に突入するも、両者譲らず、延長戦でも決着がつかなかった。そのため、それぞれ5名の代表者によるペナルティ・ショット戦にて勝敗を決することとなった。しかし、日本チームの集中力はここまで。ペナルティ・ショットを両国3人終了した時点で、得点は0対3となり、この時点でオーストリアの勝利が確定した。その結果、日本チームは、過去最低の6位という結果で、戦いを終えた。

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PS戦で日本ゴールを守る小川君(法3年)

 この試合、キャプテンの菱沼(文情4年)が、プレイヤー・オブ・ザ・マッチを受賞した。得点こそ、決められなかったが、小さい体の彼のスピーディなプレイは、目の肥えたスウェーデンの観客にとっても、魅力的であったようである。

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菱沼君(文情4年)がプレイヤー・オブ・ザ・マッチを受賞

 これで、日本チームの試合は完了。結果はボロボの惨敗、監督としては悔しい限りである。しかし、試合後の集合写真(写真↓)、選手たちの笑顔に救われる。彼らにとって、この大会は良い経験だったのだろうか?その事も含め、明日は、男女の3位決定戦と決勝戦を観戦しつつ、日本フロアボール・チームの問題点と課題について考えてみよう。
 蛇足ながら、この日は小生の誕生日だった。試合後、コート上での♪ハッピー♩バースデー♫トゥ♬ユー♩と、ケーキ、ありがとう!(感謝!)でも本当は、勝利が欲しかったな!!

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最終戦終了後の集合写真。彼らの笑顔の奥に、どんな思いがあるのか?

●チーム・ガイドの2人に感謝
 毎年このように海外遠征していると、人と人の出会いに感謝しなければならない場面が沢山ある。今回も沢山の人に助けられた。応援に駆け付けてくれた邦人の方々、日本びいきのボランティア運転手(72歳)さん、組織委員会のダン氏、などなど。本当にありがとう!
 そして、我々が今回、最もお世話になったのが、日本チームのチーム・ガイドを務めてくれたニーチャとタナンの2人である。彼らは共にタイからの留学生で、この6月にはウーメオー大学の大学院修士課程を終了し、帰国する予定であるとのこと。同じアジアの仲間の力になりたいということで、修論提出のとても忙しい時期に、約1週間、日本チームのサポートをしてくれたのである。改めて、我々がアジア人である事を認識させられた。本当にありがとう!
 ニーチャとタナンも、タイに帰国したら、今度はタイのために頑張って下さい。

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ニーチャ(右)とタナン(左)、ありがとう!

●まとめ
 身体の小さい日本チームが、しかも13人という少人数で、3日間全てダブルヘッダーという厳しい競技スケジュールの中で戦うことは、正直なところ厳しかった。大きなケガ人は幸いなことになかった(安堵)が、選手たちそれぞれは、本当に自己の持つ全能力を発揮して、試合を戦い抜いたのだろうか?
 参加6ヶ国中、スウェーデン、フィンランド、チェコおよびノルウェーの4ヶ国は、いずれも世界の強豪国で、通常の世界選手権大会ではAディビジョン(1位〜10位)に属する国々である。そのため、Bディビジョン(11位〜20位)に属する日本は、普段は対戦できない国々なのである。結果的に、それら強豪国には、大差で負けることは覚悟している。しかし、過去においては、それら強豪国と対戦したという経験は、選手たちにとって貴重な財産と成ってきたのである。正に、映画「スタンド・バイ・ミー」の少年たちが、旅を終えると少し大人に成っている。それが、小生が学生たちに望むところである。果たして、今回参加した選手たちは、どのように感じたのだろうか?男になって帰国できたのだろうか?彼らにとって、余りにも刺激が強過ぎる過酷な経験だったのではないだろうか?彼らの今後に多少の不安を覚えないわけでもないが、暫くは彼らの成長を見守りたい。
 一方、小生は、少なくとも駿河台大学ユニバーサルホッケー部が、もっともっと頑張らなくては、日本のフロアボール競技、とりわけ学生レベルのフロアボール競技の明日は開けないということを痛感した。というわけで、もし、この文章を読んでいる受験生のなかに好奇心と意欲のある人がいたら、是非、我々の仲間になって欲しい。一緒に日本のフロアボール競技そして世界の学生フロアボール競技の歴史を作って欲しいなと願っている。

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決勝戦スウェーデン対フィンランドの様子

 ところで、試合が全て終了した5月16日の夜、選手・スタッフ・競技役員・ボランティアの人達などが集まって、クロージング・バンケットが盛大に開催された。席上、男女のベスト6などが発表されたり、競技役員に感謝の品がプレゼントされたりというセレモニーも行われ、和やかに盛り上がっていた。
 その際、全く予想外の感動が我々にもたらされた。感謝されるために壇上にあがったレフリーが、「レフリーで協議した結果、日本チームのキャプテンに、レフリー特別賞を送りたい」というのである。バンケット会場にいた全ての人達が、スタンディング・オベーションで、日本チームのキャプテン菱沼福太(文化情報学部4年)の登壇を待った。そして、全レフリーサイン入りのレフリーシャツが、日本チームの常に全力で戦うフェアプレー精神と、それをリードする彼のキャプテンシーに対して送られたのである。この瞬間が、本大会の全ての試合・全てのセレモニーを通じて、最も盛り上がった瞬間であった。また、この大会に関わった全ての人たちが共感できる瞬間でもあった。(残念ながら写真がない)
 おめでとう菱沼君そして日本チーム! 頑張れば良いことがあるもんだね。

 最後に、勿論、小生としては、今回の経験を、駿河台大学における今後の教育・研究活動に活用して行きたいと考えている。

以上


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