室長よりごあいさつ

地域との共生をめざして

鎗田英三

地域ネットワーク推進支援室長 鎗田英三

地域貢献?

大学の社会的使命として、研究・教育に加えて「地域貢献」が付け加えられるようになってずいぶんと時がたっています。だが、私はこの言葉にどうしても違和感をもってしまうのです。大学は研究・教育が中心で、片手間にお世話になっている地域に少しは役に立とうかいう「やってやる」という「上から目線」の「本音」が見え隠れするからです。そのせいか、大学の「地域貢献」は、おざなりで形式的なものにとどまっている場合が多いと言わざるを得ません。

大学教育を見直す

はたして、そのような認識が通用するのでしょうか。なぜなら、21世紀に入り、世界は大きく変動し、混迷の度合いを深めています。とくに、わが国は東日本大震災の影響も受け、「カオス」的状況が一層深刻で、原発問題などあらゆる局面で「パラダイムの転換」が求められているからです。大学のありかたも大きく転換しなければならないのではないでしょうか。
大学の教育について、見てみましょう。今までのそれは、教室での教員による座学を中心として、知識の習得が主要目的でした。しかし、大学の大衆化(ユニバーサル化)の中で、学生の知識の獲得やそれに伴う思考力の発達が十分な効果を上げられなくなっただけではありません。人間として社会を生きるのに必要な社会観・職業観やコミュニケーション能力などの欠如が大きな問題となっているのです。
「社会人基礎力」の育成が声高に叫ばれるようになったのも、そのような背景のもとで理解される必要があるのではないでしょうか。

まちが教室、市民が先生

そこで、本学は、現状の大学が抱えている困難な状況に立ち向かうための一つの方向性―「大学の教育を地域の中で再生させること」-を提起しました。
つまり、教育の場を大学の中だけでなく、まちも教室にする。大学の教員が教えるだけでなく、まちの市民も先生となるということです。それにより、大学の教室では身につけることが困難な社会観・職業観やコミュニケーション能力を育てることができるだけではありません。社会の「現場」を知り、その中で自らの知識・能力を生かすことにより、大学の教室での勉強のモチベーションも高まるのです。

文科省現代GPによるプロジェクト採択

このような私たちのアウトキャンパススタディの取組を具体化した「学生参加による〈入間〉活性化プロジェクト」は、平成16年度の文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に採択されました。入間市にある駿大ふれあいハウスを拠点として、学生は子どもボランティア、まちおこしイベント等の企画・運営、通学合宿サポート、地元FM局・ケーブルテレビでの番組制作などに取り組み、「まちづくり実践」「インターンシップ」などの単位が与えられるのです。
このプロジェクトは、全国的にも大きな反響を呼び、「地域とゼミによる総合的キャリア教育」プロジェクトでも継続され、平成19年度の現代GPで再度採択されたのです。ここでは、地域社会・経済の第一線に立つ「地域人講師団」が、大学の教室での「経済today」やキャリア教育科目などの講義を担当し、「生きた現実社会」教えるという仕組みも生まれました。
さらに、本学が位置する飯能市は、森林が70%以上も占め、「森林文化都市」宣言をしており、市や地域の中・高と連携して、「駿大の森」・「駿大の里山」の育成・保全活動を行う「『駿大の森』百年協定に基づく飯能活性化」(森林プロジェクト)も平成19年に現代GPに同時採択されたのです。連続して、また複数同時に現代GPに採択されるのは、全国的にも珍しく、それだけ私たちの教育活動が高く評価されているのです。

地域との共生

学生は地域の中で「生きる力」を育まれています。大学と地域との関係は、もはや「地域貢献」という言葉ではくくりきれません。このような「地域との共生」の中でしか大学教育の発展はありえないという立場から、長年にわたるアウトキャンパススタディの活動を、現在も次のような形で発展させています。今後ともご理解・ご協力よろしくお願いいたします。

(1) 地域インターンシップ
(2) 輝け!飯能 プランニングコンテスト
(3) 学生参加による〈入間〉活性化プロジェクト
(4) 森林プロジェクト
(5) 駿大ふれあいハウス
(6) 駿大・地域フォーラム
(7) 豊岡プチ大学
(8) 「地域の大学から地域の企業へ」プロジェクト

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